胃内異物とはどんな病気か

 胃内異物とは、ある異物を誤飲(ごいん)し、食道で各生理的狭窄(きょうさく)部を通過して、胃内に異物が到達し停滞している病態、もしくは胃石や食物塊のように誤飲を誘因とせず、胃内に異物が停留している病態です。
 前者は、小さい子ども以外は、自分が何をいつ誤って飲み込んだか自覚していることが多く、診断は容易です。一方、小さい子どもの場合は、子ども自身の自覚に乏しく、診断が難しいことがあります。いずれにしても詳しく医師に説明することが重要です。

原因は何か

 胃内異物の種類としては、PTP包装(薬剤の包装部分)、貨幣、おもちゃ、義歯(ぎし)、胃石、食物塊などがあります。子どもではPTP包装、貨幣、おもちゃなどが多くみられ、お年寄りでは義歯、胃石が多い傾向にあります。

症状の現れ方

 胃内に異物が存在しているだけでは症状は認められません。しかし、胃幽門輪(ゆうもんりん)(出口)を通過し、小腸や大腸の生理的狭窄部に穴をあけて通り抜け、腹膜炎(ふくまくえん)を来すことがあり、この際は、腹膜炎症状として、腹痛、腹部圧痛、吐き気、下痢、腹膜刺激症状などがみられます。また、胃幽門部を通過しにくい胃内異物(大きい胃石、細くて長い箸(はし)・鉛筆など)は胃内に停留することで、胃部膨満感(ぼうまんかん)、一過性の吐き気・嘔吐、腹部違和感などの症状がみられることもあります。

検査と診断

 詳細な状況把握により、誤飲物の種類、大きさ、誤飲した時間などを知り、さらに誤飲物の位置確認のために腹部単純X線検査を行います。腹痛や腹膜刺激症状など腹部の強い炎症所見を認めた際には、誤飲物による消化管穿孔(せんこう)を疑います。単純X線検査では異物が不明な時や腹膜炎が疑われる場合は、腹部CT検査による評価が有用です。胃内異物が強く疑われる場合には、即座に上部消化管内視鏡検査を行うこともあります。

治療の方法

 治療はもっぱら内視鏡的異物摘出術が望まれます。異物の形状が安全な物(小さく、とがっていない)であれば、経過観察を行い、糞便とともに体外に排出されるのを待つこともあります。異物の形状が内視鏡では摘出困難な時は、腹腔鏡下手術または開腹手術が行われます。

胃内異物に気づいたらどうする

 小さい子どもの誤飲が疑われる場合、胃内にまで到達する前に咽頭食道部(いんとうしょくどうぶ)(のどもと)に異物がある場合もあり、吐き出すように促してみます。しかし多くは、胃内まですみやかに落下してしまうため、内視鏡下での異物摘出術を行う必要があります。本疾患に気づいた時には、とくに異物の形状が消化管穿孔や狭窄を来す危険性のある場合、消化器専門医をすみやかに受診し、確定診断および的確な治療選択をしてもらいましょう。