感染性腸炎<食道・胃・腸の病気>の症状の現れ方

 一般的な症状としては、発熱を伴った下痢、腹痛、吐き気・嘔吐が多く、時には血便を来します。ウイルス性では、吐き気や嘔吐症状が強いのが特徴で、発熱はあっても38℃以下の微熱のことが多く、また血便は現れません。感染性腸炎は自然治癒傾向があるため、症状は長く続かないことが多いのですが、一部の寄生虫疾患では下痢が長期間続く場合があります。
 消化器以外の特徴的な症状としては、カンピロバクター腸炎後のギラン・バレー症候群、腸管出血性大腸菌による溶血性尿毒症(ようけつせいにょうどくしょう)症候群や脳症(のうしょう)などがあります。

感染性腸炎<食道・胃・腸の病気>の診断と治療の方法

 感染性腸炎の治療には、全身状態の改善を図る対症療法と原因療法である抗菌薬療法があります。

対症療法
 感染性腸炎では、下痢、嘔吐、発熱のため脱水状態となるので、その程度に応じて経口あるいは経静脈的に水分、電解質、ブドウ糖を補給します。補給には市販のスポーツドリンクが多く用いられています。
 細菌性の場合、強力な止痢(しり)薬の投与は、腸管蠕動(ぜんどう)を抑制して病原体の排除を遅らせるため使用すべきではありません。嘔吐に対しては制吐薬が、腹痛が激しい時は鎮痙(ちんけい)薬が用いられます。ただし、鎮痙薬は、止痢薬と同様に腸管蠕動を抑制するので、その使用は必要最低限とすべきです。乳酸菌、ビフィズス菌などからなる生菌製剤は、病原菌の定着を抑制し、腸内細菌叢(そう)の回復を促進する効果が期待できるため積極的に用います。
 食事に関しては、腹痛が強かったり、血便を伴う場合は、腸の安静のために絶食が必要ですが、多くの場合は、刺激が少なく消化のよいものであれば食事はとってかまいません。ただし、刺激性のある食物、香辛料、高脂肪食、塩辛い物、アルコールはひかえましょう。

抗菌薬療法
 感染性腸炎では自然治癒の傾向が強いため、脱水や自覚症状に対する対症療法だけでよい場合が多く、抗菌薬の投与が必要な場合は、(1)症状が重篤な場合、(2)乳幼児や高齢者、易(い)感染宿主などの免疫が低下している場合、(3)二次感染のリスクの高い細菌感染(細菌性赤痢腸チフスパラチフスコレラなど)といった場合に限られます。
 抗生物質としては、ニューキノロンかホスホマイシンの3日間投与を行います。カンピロバクターはニューキノロン耐性のため、マクロライド系薬剤を第一選択とします。腸管出血性大腸菌腸炎では、抗生物質を投与するか否か議論のあるところですが、日本では投与がすすめられています。