腸結核とはどんな病気か

 結核菌が腸に侵入し、炎症を起こして潰瘍を形成する病気です。腹痛、下痢、発熱、体重減少などがみられますが、症状があまりはっきりしない場合もあります。結核というと過去の病気と思われがちですが、決して減少しているわけではありません。抵抗力の落ちた高齢者や糖尿病腎不全などほかの病気をもっている人に多く発症します。

原因は何か

 活動性の肺結核があると、結核菌を含む喀痰(かくたん)を飲み込み、この結核菌が腸粘膜に侵入して腸結核を生じることがあり、続発性腸結核といいます。ほかの臓器に結核性病変がなく、腸に初めて感染巣をつくる場合を、原発性腸結核といいます。
 感染経路からの分類では、結核菌を飲み込む管内性転移が大部分で、そのほかに他臓器から血管やリンパ管を介して結核菌が侵入する場合や、隣の臓器から直接入り込む場合があります。

症状の現れ方

 腹痛、下痢、発熱、体重減少、下血などがみられますが、腸結核に特徴的な症状はありません。活動性の肺結核を伴っていれば咳、痰などの呼吸器症状も現れますが、日本では肺結核を伴わない場合が多いようです。

検査と診断

 全消化管に発生する可能性がありますが、最も多いのは回腸、盲腸(もうちょう)、上行結腸です。腸管に侵入した結核菌は、粘膜下に結核結節を形成し、円形・不整形潰瘍や輪状・帯状潰瘍といわれる腸管の横軸方向の潰瘍をつくります。またその周囲に、多発性の潰瘍瘢痕(はんこん)や特有の萎縮状(いしゅくじょう)粘膜、変形がみられます。大腸X線検査で特徴的な所見が得られますが、大腸内視鏡検査で病変部を観察して生検を行い、組織学的に結核菌や乾酪性肉芽腫(かんらくせいにくげしゅ)といわれる特徴的な病変がみられれば確定診断されます。
 しかし、検出率はあまり高くなく、生検組織の培養やPCR法による結核菌の遺伝子診断、糞便の結核菌培養などを行い、いずれかの方法で結核菌が証明されれば腸結核と診断されます。
 そのほか、血液検査では炎症反応の上昇や軽度の貧血、低栄養状態がみられます。肺結核の合併の有無を調べるには胸部X線撮影を行います。結核菌の感染の有無を調べるためにツベルクリン反応も行われます。
 診断が困難なことも少なくない病気ですが、最近では、採取した血液から結核感染の有無を診断する、全血インターフェロンガンマ応答測定法(クオンティフェロン)といわれる補助診断法の有用性が認められてきています。

治療の方法

 抗結核薬による化学療法(イソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、ピラジナミドなど)が基本になります。多剤併用といい、3〜4種類の抗結核薬を同時に使用することで結核菌を死滅させます。症状の強い時には腸管の安静のために絶食とし、輸液を行います。狭窄、腸閉塞、穿孔(せんこう)、瘻孔(ろうこう)形成、大出血などの合併症のある場合は手術が必要になることもあります。
 抗結核薬による治療は半年以上かかりますが、中途半端な治療は結核菌の薬剤耐性のもととなり、その後の治療を難しくすることがあるため、中断せず続けるようにします。

腸結核に気づいたらどうする

 設備の整った病院で診断を受けます。結核と診断された場合、感染症法により、医療費の一部が公費負担となります。適切な治療で完治する疾患ですから、症状がなくなったあとも治療を継続することが重要です。腸結核だけの場合、通常は他人に感染させることはありません。

関連項目

 肺結核