特発性細菌性腹膜炎とはどんな病気か

 特発性細菌性腹膜炎は、腹水を合併する疾患に発生する腹膜炎で、とくに肝硬変(かんこうへん)が基礎疾患として多くみられます。経過が急速で生命に関わる状態に陥ることがあり注意を要します。

原因は何か

 腹水を生じる基礎疾患があり、なかでも肝硬変が基礎疾患として8〜9割を占めます。その他、悪性腫瘍、ネフローゼ症候群、急性肝炎、膠原病(こうげんびょう)などで起こる腹水に合併することがあります。腹水が現れることにより、腸の常在菌である大腸菌(エスチェリキア・コリ)やクレブシエラ菌などのグラム陰性菌(いんせいきん)が腹膜内にある腸間膜リンパ節に容易に移行しやすい環境になり、また、さまざまな免疫能力の低下も伴って発症するとされています。

症状の現れ方

 症状としては発熱、腹痛が現れますが、明らかな症状として認められる頻度は約半数程度で、残りは無症状で経過します。

検査と診断

 医師の診察で、急性腹膜炎にみられたような腹部圧痛やブルンベルグ徴候が明らかになるケースは約半数にしかすぎません。しかし、急速な経過で進行しショック状態になることがあるため、先に述べた基礎疾患により腹水がある場合で発熱、腹痛がみられた時には積極的に検査することが必要です。
 確定診断は、腹水穿刺(せんし)(針を刺して吸引する)により採取した腹水の培養で原因菌を特定することです。しかし、必ずしも腹水の細菌培養検査で結果が陽性ではないため、腹水中の好中球(こうちゅうきゅう)数が500mm3以上、あるいは好中球数250〜500mm3で発熱し、腹痛などの症状がある場合には、本症の確定診断となります。

治療の方法

 基本的には、抗生剤の投与が有効です。第3代セフェム系抗生剤、ニューキノロン系抗生剤が最も効果があるとされています。特発性細菌性腹膜炎の場合には、肝硬変などの重い基礎疾患があることが多く、これらのコントロールを十分に行いながら、適切に抗生剤による治療をしていくことが大切です。

特発性細菌性腹膜炎に気づいたらどうする

 ほとんどは基礎疾患のある人にみられるので、通院治療していると思います。このような患者さんで腹水や発熱、腹痛、腹部膨満感が現れた場合には、積極的に主治医に相談することが必要です。また、基礎疾患がなくても、このような症状が現れた場合には、早めに病院で受診することが大切です。