直腸炎とはどんな病気か

 直腸炎は炎症性の腸疾患(小腸、大腸の炎症)のひとつであり、最も症状が出やすく、また適切な検査を行えば最も診断がしやすい病気でもあります。主に下痢、血便、炎症性腸疾患の一部として腹痛を伴うこともあります。

原因は何か

 特発性(原因がわかっていないもの)としては潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)、クローン病によるものがあります。感染性のものとしては赤痢(せきり)、アメーバ性腸炎、カンピロバクター腸炎、偽膜性腸炎(ぎまくせいちょうえん)、性病(梅毒(ばいどく)、エイズなど)、結核(けっかく)によるものがあります。外傷性のものとしては直腸脱、孤立性潰瘍、器具によるものがあります。そのほかに、虚血性(きょけつせい)腸炎、放射性直腸炎、薬剤性直腸炎(緩下剤(かんげざい)や抗生剤によるもの)があります。

症状の現れ方

 症状は主に下痢、粘血便であり、時に体重の減少、食欲不振、貧血などの全身症状を伴うことがあります。クローン病潰瘍性大腸炎では、症状の強さは病気の重症度と相関関係があります。

検査と診断

 下痢、粘血便がみられた場合は、直腸鏡や、さらに精密な大腸の検査が必要になりますが、直腸に関してはS状結腸(けっちょう)までの検査でおおよその診断がつきます。さらに原因を確定するには、全大腸内視鏡検査、糞便の検査、腹部のX線検査、注腸検査(バリウムを肛門から注入してX線撮影をする)、直腸の生検(組織の一部を採取して調べる検査)が必要になります。

治療の方法

 軽症〜重症例いずれも、多くは保存的(手術を行わず)に治療されます。主な治療法は、抗炎症薬(副腎皮質ホルモン薬、サラゾピリン、ペンタサ、レミケードなど)、対症療法(止痢薬、ロペミン)、補充療法(鉄剤、ビタミンB12、葉酸(ようさん))、食事療法(乳製品を避ける、低脂肪食)です。
 潰瘍性大腸炎の約80%では保存的治療が行われます。クローン病の約半数以上では何らかの手術療法が必要になります。感染性炎症疾患に対しては、原因菌に対する薬物療法を行います。

直腸炎に気づいたらどうする

 下痢、粘血便が認められた場合は、消化器科、消化器外科、肛門科、または大腸肛門病・IBD(炎症性腸疾患の略)センターを受診してください。胃腸科では、十分な診断ができない場合があります。病状によっては手術が必要な場合があります。潰瘍性大腸炎では、10年以上経過した場合、がん化の可能性もあり、定期的な診察が必要です。
 日常生活での注意としては、規則正しい生活を心がけ、アルコールをひかえ、普段から食事療法を心がけることが必要です。

関連項目

 潰瘍性大腸炎クローン病直腸がん