排便障害<直腸・肛門の病気>の症状の現れ方

 便秘症状の現れる時期はさまざまです。一般には、高齢になるにしたがって増える傾向にありますが、若い女性の便秘は思春期のころに始まることも少なくありません。
 旅行や生活の変化に伴う数日間だけの一過性の便秘(単純便秘)と、症状が1〜3カ月以上続く慢性便秘があります。
 それまで規則的であった排便が便秘に変化した場合や、便に血が混ざるとか、腹痛を伴うような場合は、前述の器質的便秘が疑われるので、早めに検査を受ける必要があります。
 便意を感じないままに自然に便がもれてしまうタイプ(漏出性便失禁(ろうしゅつせいべんしっきん))と、便意をもよおしてからトイレに行くまでがまんできずに失禁してしまうタイプ(切迫性便失禁(せっぱくせいべんしっきん))、また、これらの両方を併せもつタイプがみられます。
 自然に便がもれてしまうタイプは、無意識での肛門のしまりが弱くなっており、高齢者や直腸脱の患者さんなどに多くみられます。がまんできずに失禁してしまうタイプは、意識的に力を入れた時のしまりが弱くなっており、分娩時の会陰裂傷(えいんれつしょう)や複雑痔瘻(ふくざつじろう)の手術後などに多くみられます。
 また、直腸に固まった便が詰まっている時に下剤を飲むと、固まった便のまわりを下痢便がつたって失禁することがあります(オーバーフロー型便失禁)。

排便障害<直腸・肛門の病気>の診断と治療の方法

 食事・生活指導、運動、緩下剤(かんげざい)といった保存的治療法が主体となり、これらをうまく取り入れて便通をコントロールするようにします。日常の食生活で不足しがちな食物繊維を補うためには、市販の食物繊維サプリメント(オオバコ、小麦ふすまなど)を活用するのもよい方法です。
 緩下剤は、腸への刺激がなく、水分を保持して便を軟らかくする酸化マグネシウムなどの塩類下剤を主体として使用します。センナ系、漢方などの速効性の刺激性下剤は、できるだけ常用しないように心がけます。刺激性下剤を常用すると、次第に腸が下剤の刺激に慣れて効果が鈍くなり、ますます便秘が悪化することがあるためです。
 直腸瘤が便秘の原因となっている場合は、その症状と大きさから判断して手術で治療することもあります(直腸瘤)。
 対策は、まず失禁が減るように排便をコントロールすることです。特定の食べ物や飲料で下痢や軟便になりがちな人は、それらをひかえるように注意します。
 また、便秘で刺激性下剤を服用している場合は、塩類下剤(酸化マグネシウムなど)に変更して下痢や軟便にならないようにコントロールします。普段から下痢や軟便が多い人は、便を固める作用のある止痢薬で有形便にコントロールすることも有効です。
 排便後しばらくして失禁する場合は、排便のたびに坐薬や浣腸を使用し、直腸内の残便をなくすように試みることが有効な場合もあります。突然の失禁に対しては、一時的に便の排泄を抑える肛門用タンポン(アナルプラグ)を使用するのもひとつの方法です。
 分娩時の会陰裂傷などで肛門括約筋に明らかな損傷がある場合には、括約筋を縫合する手術(括約筋形成術)を行うと失禁症状の改善が得られます。