内痔核<直腸・肛門の病気>の症状の現れ方

 初めは出血するだけで、痛みは伴わないのが普通です(図8)。出血の色は濁っていないで鮮やかな真っ赤です。
 量としては紙に付く程度のものからポタポタと出たり、ひどくなると、ほとばしるように出るものまでさまざまです。また出血の回数も初めは1カ月に1回とか、たまに出るだけなのが、1週間に1回とか2回、ひどくなると排便のたびに毎日出るようになります。
 出血するだけの状態から程度が進むと脱出するようになります。初めは排便でいきむ時だけ出ていて、排便が終わると自然にもどっていたのが、次第に指で押し込まなければもどらなくなります。もっと進むと歩いたり、運動をしたり、咳(せき)、くしゃみをするだけで脱出するようになり、最後はいつも脱出したまま(脱肛)となってしまいます。

内痔核<直腸・肛門の病気>の診断と治療の方法

 大きく分けて薬で治す保存療法、外来で行う注射、ゴム輪結紮(けっさつ)療法などの外来処置、そして入院して行う手術があります(表1)。
 日常生活で肛門に負担をかけることに注意しつつ薬で治療する保存療法が基本です。薬で治らず、症状・病状がひどいものに対して外来処置を行い、それでも治らないものや病状の進んだものに対して手術を行います。
 痔核の症状別にいえば、表1のように、どの痔核にもまずは保存療法を行います。そして出血を繰り返すものに対しては注射療法を、脱出する痔核にはゴム輪結紮療法を、外痔核まで含んで脱出するものに対しては手術を行います。
 次にそれぞれの治療法について説明します。

保存療法
 肛門の病気全般にいえることですが、とくに内痔核の場合は生活療法(コラム)を中心とした保存療法が基本です。保存療法に使われる薬には坐薬、軟膏などの外用薬と内服薬があります。
 坐薬、軟膏などの外用薬には出血を止めたり、痛みを止めたりする効果があり、痔核により生じる症状を緩和しますが、外用薬のいちばんの効能は、便が出るときに肛門部に負担をかけないでスムーズに出るようにしてくれることです。
 内服薬には痔核を萎縮(いしゅく)させたり痔核の血流改善を目的とするものがあります。そのほかに便秘を防ぐ目的で緩下剤の内服も効果があります。

注射療法
 出血が止まらない痔核に対して外来で行う処置です。痔核に硬化剤(5%フェノールアーモンド油)を注射し、痔核の血管周辺に炎症を起こし、その二次的な線維化により痔核の血流を低下させ、出血を防ぎます。
 外来で麻酔なしに簡単に行えますが、注射は痛みを感じない部位を選んで行う必要があります。内痔核に注射はできますが、外痔核を伴ったものに注射することは、痛みが生じるので不可能です。注射する深さにも注意が必要です。粘膜の下が理想的で、それより浅すぎると痔核の表面の粘膜がダメージを受けるし、深すぎると肛門周囲の組織に注射液が及び危険なことがあります。
 注射によって出血を抑える効果は絶対的ですが、永続性はなく、1年くらい有効です。

ゴム輪結紮療法
 痔核にゴム輪結紮器を使って輪ゴムをかけ、結紮する方法です(図9)。
 特殊な器具を用いて小さな輪ゴムを延ばし、結紮器の先に装着し、伸びた輪ゴムを痔核の根部にはめ込みます。輪ゴムは痔核の根部にはめ込まれてから徐々に痔核根部を締めていき、1〜2週間後に痔核は脱落します。
 麻酔なしで行う方法なので、やはり痛みを感じない痔核に行うようにします。内痔核だけが脱出するようになったものに有効な方法です。

手術
 保存療法や注射療法を行っても出血がどうしても止まらず繰り返す場合や、痛みを感じる痔核を含めて脱出するようになり、それが日常生活に支障を来すような場合に手術を考えます。手術は、痔核にそそぐ根部血管をしばって、痔核を放射状に部分的に切除する方法(結紮切除術)が行われています。