肛門掻痒症とはどんな病気か

 肛門周辺部を中心にかゆみ(掻痒)を伴う病気の総称で、原因のつかめない特発性(とくはつせい)肛門掻痒症と、何らかの原因が存在する続発性(ぞくはつせい)肛門掻痒症とがあります。
 男女比はおよそ2対1と、男性に多くみられます。

原因は何か

 続発性肛門掻痒症の原因には痔核(じかく)、痔瘻(じろう)、肛門皮垂(こうもんひすい)、肛門ポリープ直腸脱(ちょくちょうだつ)、寄生虫などがあり、分泌物や便汁の付着のほか、下痢・便秘症でも皮膚刺激や皮膚炎が起こります。かくことで、さらに肛門が傷つき、雑菌や真菌(しんきん)(カンジダ菌、糸状菌)の感染が生じてひどくなります。
 そのほか、糖尿病肝硬変(かんこうへん)、精神・神経的な要因によるものもあります。
 最近は、肛門を紙で拭きすぎたり、温水トイレで肛門の奥まで洗いすぎることで発生する事例が増えてきました。

症状の現れ方

 入浴や就寝後、体が温まるとかゆみが増強することが多く、無意識に局所をかきむしるようです。急性期では肛門周囲のただれ、発赤やはれが強く、べとべとして出血することもあります。慢性期では皮膚が厚く硬くなり、色素沈着で黒ずんできます。

検査と診断

 まず肛門を診察し、痔核裂肛(れつこう)、痔瘻肛門ポリープ直腸脱過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)など、大腸肛門病の有無を検査します。
 真菌類の検索は治療の選択上重要で、肛門部から分泌物を取って、水野・高田培地などで培養します。女性の場合、腟から肛門にかけて垂れたようにただれている時は腟炎が考えられます。幼児、学童では蟯虫症(ぎょうちゅうしょう)を疑い、セロファンテープ法で検査します。
 肛囲湿疹(こういしっしん)が難治性の場合、パジェット病(悪性化もある)との区別のため、肛門組織の顕微鏡検査が必要です。

治療の方法

 原因となる病気と局所病変を同時に治療します。
 局所に対して、ステロイド軟膏、抗真菌薬軟膏、抗生剤入り軟膏、抗ヒスタミン軟膏、亜鉛華(あえんか)軟膏などを用います。真菌症に対しては、ステロイド薬は一般的に禁忌とされていますが、実際の臨床では、抗真菌薬とステロイド薬を混ぜて外用すると80〜90%に有効で、速効性があります。
 特発性肛門掻痒症では、キニーネやペプシンの肛門周囲への局所注射が有効とする報告もあります。

肛門掻痒症に気づいたらどうする

 香辛料や、コーヒー、アルコールなどの刺激物を避け、鎮静薬などで安静を保ち、睡眠を十分にとってください。肛門部の清潔保持は重要ですが、排便後の過度な肛門洗浄、石鹸の使用はひかえてください。
 1週間でよくならなければ、肛門専門医にかかってください。