壊疽性筋膜炎とはどんな病気か



 肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)や外傷、尿路感染がきっかけとなり、陰部や肛門周囲に急速に炎症が進行して、急激な経過をたどる病気です(図19)。会陰部(えいんぶ)や陰嚢(いんのう)に生じるものをフルニエ症候群と呼んでいます。
 半数は糖尿病の人に発症します。50〜70代によく起こり、男女比は25対1と圧倒的に男性に多くみられます。
 死亡率は10%ほどです。

原因は何か

 細菌が皮下組織に進展し、肛門周囲、陰嚢・睾丸、会陰・大腿部の筋膜や筋肉内で膿汁の貯留が起こり、腐敗ガス・毒素を産生して組織が腐ることが原因です。嫌気性菌(けんきせいきん)と好気性菌(こうきせいきん)の混合感染によって重症化します。
 肛門周囲膿瘍病気を契機とするものが全体の約半数を占めます。そのほか、直腸がんの腸管壁穿破(ちょうかんへきせんぱ)、放射線治療後に発症します。

症状の現れ方

 全身症状では高熱、ショック症状があり、局所所見では肛門や陰嚢周囲に発赤、腫脹(しゅちょう)、圧痛、著しい浮腫(ふしゅ)(むくみ)を認めます。ブラックスポット(黒色壊死部(こくしょくえしぶ))や皮下の捻髪音(ねんぱつおん)(プチプチとした感触)は、ガス産生の特徴的な所見で重症を意味します。。皮下気腫や皮下の硬結は、腹部や頸部(けいぶ)(首)に及ぶこともあります。
 会陰部を中心とする時は外攻型、後腹膜・腹腔内に進展するものを内攻型といいます。

検査と診断

 腹部単純X線写真やCTで会陰、大腿、鼠径部(そけいぶ)の皮下ガス像が認められたら診断は確実です。
 この病気は、体表に沿って炎症が拡大する外攻型と、骨盤内結合織(こつばんないけつごうしき)をへて後腹膜(こうふくまく)に進展する内攻型があります。後者は診断が困難で予後は不良です。そのため、腹部や胸部なども含めたCT検査は欠かせません。

治療の方法

 ポイントはまず敗血症、細菌性ショック、高血糖に対する全身療法を行います。局所は、膿汁のたまっている部位を徹底的に切開・開放して洗浄し、過酸化水素(オキシドール)やポビドンヨード(イソジン)で消毒します。筋膜下の膿汁も排出し、筋肉を露出させ、十分に空気にさらします。後腹膜に進展する内攻型では開腹術も必要です。
 抗生剤も腐敗菌に有効なものを選びます。特殊な治療では、エンドトキシン吸着療法やγ(ガンマ)‐グロブリン製剤の投与、高圧酸素療法が有効な手段です。

壊疽性筋膜炎に気づいたらどうする

 保存的治療の選択肢はありません。一刻も早く病態をつかみ、徹底的に手術することが生存率を上げます。救急医療として1秒を争うので、救急車ですぐに病院へ行ってください。