毛巣瘻とはどんな病気か



 腰にある仙骨(せんこつ)と尾骨(びこつ)の結合部またはその近辺の皮下に、単発または多発の難治性膿瘍を形成する病気です(図20)。毛巣洞炎(もうそうどうえん)、毛巣洞(もうそうどう)、毛巣嚢胞(もうそうのうほう)などとも呼ばれます。

原因は何か

 先天説と後天説とがあります。
 先天説は、胎生期に受精卵から臓器ができあがっていく経過で不具合が原因となるものです。
 これに対し、後天説は体毛の皮膚への刺入が原因で、瘻孔(ろうこう)や肉芽腫(にくげしゅ)、嚢胞を形成するというものです。これは、本症が脂肪体質で体毛の多い白人に多くみられ、瘻孔内には毛嚢(もうのう)のない死んだ毛しかみられず、毛髪の刺激を受けるほかの部位でも発症することなどを根拠としています。
 多くがホルモン活動の活発な20代までに発症し、男女比は3対2といわれています。しかし、最近の日本では男性の発症が増加し、女性は30%程度です。

症状の現れ方

 肛門後方から仙尾部の正中線上に腫脹(しゅちょう)・硬結、疼痛、排膿が現れます。近医で切開排膿術を受けることが多く、典型例では瘻孔から毛髪が出ることがあります。痔瘻(じろう)とは、肛門管との連絡が見当たらないことから区別できます。

治療の方法

 根治的には外科的切除が原則です。術後に縫合創(そう)(傷)が開いたり、再発する頻度が15〜20%と高いので、術後の予防がポイントになります。切除後の再発予防に、局所の剃毛(ていもう)や永久脱毛、除毛クリームの使用なども行われています。
 手術は瘻孔切除と創縫合が基本ですが、創が治りにくいので、皮膚を縫う場合に次のような工夫がされています。 (1)切除単純閉鎖法 (2)Z型筋皮弁(きんひべん)形成術、皮膚のW型形成術 (3)皮膚のローテーション・フラップ法 (4)造袋術(ぞうたいじゅつ)(創底と皮膚の縫合をして開放創とする)