肛門がん<直腸・肛門の病気>の症状の現れ方

 主な症状は、しこり、かゆみ、出血、疼痛、粘液分泌、便通異常(便秘便失禁)などです。時にこれらの肛門の症状がなく、鼠径部(そけいぶ)のリンパ節のはれがみられることもあります。
 これらの症状は、最初は軽度であっても、徐々に進行していくのが肛門がんの特徴です。

肛門がん<直腸・肛門の病気>の診断と治療の方法


扁平上皮がん
 扁平上皮がんの治療方針は、がんが小さく肛門括約筋まで浸潤(しんじゅん)していない場合は、局所切除により完治が見込めます。
 がんが肛門括約筋まで浸潤している場合、以前は永久的人工肛門造設を伴う直腸切断術が行われていました。しかし、扁平上皮がんは放射線感受性が強く(効果がある)、フルオロウラシル(5‐FU)やマイトマイシンなどの抗がん薬と併用した放射線療法(30〜60グレイ)が非常に有効であるため、現在では抗がん薬を併用した放射線療法で肛門を残す治療が推奨されています。
 この治療の予後は5年生存率が70%を超え、合併症も少なく肛門の括約筋機能も残ります。照射後、がんが消失し、生検でがん細胞が残っていなければ、治療終了となります。
 がんが残っている場合には、直腸切断術などの根治的切除を行いますが、残った部分が非常に小さい場合は、再度化学放射療法を行い、永久的人工肛門を造設しなくてもよい場合もあります。

その他
 パジェット病ボーエン病は、がんの発育がゆっくりで悪性度も低いため、上皮内だけに存在しているものは広範囲局所切除を行えば、予後は良好です(コラム)。
 腺がんや粘液がんに対しては、直腸がんに準じた外科的治療(直腸切断術、局所切除術など)を行います。一般に大きさが2cm以下でリンパ節転移を伴わなければ、予後は比較的良好です。
 悪性黒色腫は、直腸切断術または局所切除術を行いますが、ほかの臓器へ転移しやすく進行も早いため、極めて予後不良です(コラム)。