急性膵炎<肝臓・胆嚢・膵臓の病気>の症状の現れ方

 急性膵炎で最も多い症状は上腹部痛です。痛みの場所はみぞおちから左上腹部で、しばしば背部にも広がります。痛みの程度は軽い鈍痛から、じっとしていられないほどの激痛までさまざまです。
 何の前触れもなく痛みが起こることもありますが、食事後、とくに油分の多い食事をしたあとや、アルコールを多く飲んだあとに起こることも少なくありません。痛みは、膝を曲げて腹ばいになると和らぐことがあります(胸膝位(きょうしつい))。
 そのほかの症状としては吐き気、嘔吐、腹部膨満感(ふくぶぼうまんかん)、食欲不振、発熱などがあります。
 症状は、何日かかけて徐々に出てくることもあれば、突然現れることもあります。また、知らないうちに痛みがなくなってしまう場合もあります。また、次第に症状が悪化して、意識障害やショック状態(蒼白、血圧低下など)を起こすこともあります(重症化)。
 腹部所見としては、疼痛のみられる場所を中心として、押されると痛みが強く(圧痛)、また押されておなかが硬くなること(筋性防御(きんせいぼうぎょ))もあります。

急性膵炎<肝臓・胆嚢・膵臓の病気>の診断と治療の方法

 治療の基本は、絶飲絶食による膵臓の安静と、初期の十分な輸液の投与です。食事や飲水は、間接的に膵臓を刺激して膵酵素の分泌を促し、膵炎を悪化させるので、急性期には厳密な絶飲絶食が必要です。また、膵炎では炎症のために大量の水分が失われているので、多量の輸液が必要になります。
 腹痛などの痛みに対しては、鎮痛薬を適宜使用します。さらに、膵酵素の活性を抑えるはたらきのある蛋白分解酵素阻害薬もよく使われます。軽症と中等症の多くは、このような基本治療で軽快します。
 重症膵炎では、さまざまな合併症に対する治療を行わなければならず、集中治療室(ICU)での全身管理が必要になることも少なくありません。また、血液浄化療法や蛋白分解酵素阻害薬の動脈注射療法などの、特殊な治療も検討されています。
 胆石性膵炎(たんせきせいすいえん)では、内視鏡を用いた胆管結石の除去や胆管ドレナージ(管を挿入して、たまった液を吸引する)が必要になることがあり、専門的な施設での診断・治療が要求されます。
 液体貯留の多い場合や重症膵炎では、急性期を過ぎた時期にしばしば仮性嚢胞(かせいのうほう)(滲出液(しんしゅつえき)などの液体が入った袋状の貯留物が、膵周囲あるいは腹腔内に認められる)が形成されることがあります。仮性嚢胞はそのまま自然に消えることもありますが、大きいものや感染を伴う場合、また出血の危険があるものは治療が必要です。治療には、嚢胞内に管を挿入して内容物を吸引するドレナージが主に行われます。