慢性糸球体腎炎とはどんな病気か

 慢性糸球体腎炎とは、急性発症(急性糸球体腎炎)に引き続くか、蛋白尿もしくは血尿が偶然発見され、少なくとも1年以上にわたり持続する病態とされています。

原因は何か

 病因に関する詳細はいまだに不明ですが、免疫(めんえき)複合体が糸球体へ沈着することによる、免疫学的な機序(仕組み)により引き起こされる場合が多いとされています。


 慢性糸球体腎炎を引き起こす抗原(こうげん)として明らかになっているものはごくわずかで、多様な原疾患が存在し、さまざまな組織病型に分類されています(表1)。

症状の現れ方

 上気道炎、消化器症状などの先行感染に引き続き急性発症するものと、健康診断などにより偶然、蛋白尿や血尿の指摘を受ける潜在発症(チャンス蛋白尿、チャンス血尿)があります。また、家族内発症などの遺伝的素因も認められます。
 一般的に無症状ですが、時に急性糸球体腎炎と似た症状を示すことがあります。まれに、高血圧や浮腫(ふしゅ)(むくみ)、紫斑(しはん)、関節痛、尿毒症症状(頭痛や吐き気)を認めることがあります。

検査と診断

 慢性糸球体腎炎患者が発見されるきっかけとして、最も多いのが健康診断での尿検査です。外来診療の場合、尿検査の多くは随時尿が用いられ、蛋白定量、尿潜血反応、尿沈渣検鏡が行われます。蛋白尿は20〜30mgdl以上、あるいは顕微鏡的血尿(肉眼では見えない血尿)が継続して認められればそれぞれ陽性とされます。
 また、病気が進行している場合には、尿中に、糸球体からもれ出た赤血球や白血球が、尿細管で蛋白成分とともに円柱状になった“赤血球円柱”や“白血球円柱”など、硝子(しょうし)円柱以外の病的円柱(細胞性円柱)が認められることがあり、糸球体腎炎の可能性が高いと判断されます。このような場合には尿素窒素(BUN)、血清クレアチニンとともにクレアチニンクリアランス、イヌリンクリアランスなどを測定し、腎機能を評価します。


 前述したように、慢性糸球体腎炎にはさまざまな組織型があり、原因となる疾患やその活動性により、予後や治療法に対する反応が異なります。本疾患が疑われる場合は、腎臓の一部をとって調べる腎生検がとくに大切な検査となります(表2)。

治療とケアのポイント


(1)生活指導

 腎障害の程度に応じて生活の制限が必要ですが、原則として過労は避けるようにします。腎血流の保持のためには、仕事量やストレスをできるだけ減らし、安静にすることが大切です。長時間立ち続けることは腎臓に負担となるため、腎機能、血圧、尿所見によっては肉体労働より机上勤務を優先し、激しい運動や競技スポーツは避けるようにします。
(2)薬物療法
 現在、慢性糸球体腎炎に用いられている薬剤は、抗血小板薬、抗凝固薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)、副腎皮質ステロイド、免疫抑制薬などがあります。
 軽症例には、抗血小板薬が単独投与されます。ジピリダモール(ペルサンチン)300mg日では、蛋白尿の減少が期待できますが、副作用として、血管拡張作用に伴う頭痛や難治性の下痢を認めることがあります。塩酸ジラゼプ(コメリアン)300mg日は、効果の発現は緩やかですが、副作用が少なく長期にわたり効果が持続するといわれています。
 抗凝固薬は、腎生検組織でメサンギウム細胞の著しい増殖、細胞性半月体の形成などが認められる場合などに用いられます。その他、尿蛋白が多く、組織変化の強いものに対しては副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬も使用されることがありますが、ステロイドには、耐糖能障害、感染症、骨粗鬆症(こつそそうしょう)、消化性潰瘍、高血圧、精神症状などの副作用があり注意が必要です。
 また、シクロホスファミド、アザチオプリン、シクロスポリン、ミゾリビンなどの免疫抑制薬には、骨髄抑制、催腫瘍性、性腺障害などの副作用があり、投与に際しては注意が必要です。
(3)食事療法
 腎炎の活動性、組織所見、腎機能、合併症の有無によりますが、原則的には、塩分制限は血圧正常であっても1日7〜8g以下にするのが望ましく、GFR(糸球体濾過量。一般的にはクレアチニンクリアランスで判定)に応じて1日0・6〜0・9gkgの間で蛋白制限されます。一方で必要十分なカロリー補給(1日30〜35kcal標準体重kg)も重要です。水分の摂取は、浮腫を伴わない限りとくに制限しません。