腎がん(腎細胞がん)とはどんな病気か

 腎尿細管上皮細胞から発生する、腎実質の上皮性悪性腫瘍を腎細胞がんといいます。好発年齢は50〜60代、男女比は3対1で男性に多く、長期透析患者にみられる後天性嚢胞(のうほう)性腎疾患(aquired cystic disease of kidney:ACDK)に合併する頻度が多いです。

原因は何か

 原因は不明ですが、喫煙で罹患(りかん)リスクが2倍になるほか、長期の透析により、腎に後天性嚢胞性変化(ACDK)を来した場合、これらの患者の約6%に腎細胞がんが発生することが知られています。最近ヒッペル(von Hipple-Lindau)病の原因遺伝子(第3染色体短腕25〜26の領域にあるがん制御遺伝子)の変異が、散発性の腎細胞がんで認められることは明らかになっています。
 疫学的には、肥満、高血圧糖尿病のほかに、カドニウム、アスベスト、トリクロロエチレンなどへの暴露も原因のひとつと考えられています。

症状の現れ方


(1)無症状 健康診断などで偶然、超音波検査やCT検査を受け、発見される症例が増加しています。

(2)血尿 無症候性肉眼的血尿は、最も重要な症候です。

(3)腰背部疼痛、腹部腫瘤 このような症状・症候は腫瘍がかなり大きくなってから起こることが多く、最近ではあまりみられなくなっています。

(4)尿路外症状 発熱、貧血、食欲不振、倦怠(けんたい)感、体重減少などを総称してparaneoplastic syndrome(腫瘍随伴(ずいはん)症状)といいますが、このような場合では予後不良のことが多いです。

検査と診断


A.血液・尿検査
(1)血液検査 ・腎細胞がんに特異的な腫瘍マーカーとして、免疫抑制性酸性蛋白(めんえきよくせいせいさんせいたんぱく)(IAP)の上昇をみる例がありますが、診断には通常使用されません。


・貧血 約30%の患者さんにみられます。

・急性反応物質 沈亢進、CRP上昇、α2グロブリン上昇などは、がんの発育速度が速い患者さんに多く認められます。

・肝機能異常 肝転移がないにもかかわらず、肝機能異常が認められることがあり、腎摘出術後に正常化することがあります。異常を示す項目としては、アルカリホスファターゼ、α2グロブリン、プロトロンビン時間の延長などです。
(2)尿検査
 血尿は、腫瘍が腎盂または尿細管へ浸潤(しんじゅん)していることを意味しています。早期診断には必ずしも結びつきませんが、目に見えない顕微鏡的血尿も含めると、腎細胞がんの約50%に認められます。
B.画像診断
 腎細胞がんの診断は、まず超音波によるスクリーニングを行い、次にCT、さらにはMRI検査を追加することにより診断を確定することが一般的です。
(1)超音波検査
 腎の腫瘤性病変のスクリーニングとしてまず行われる検査です。これにより嚢胞性病変と実質性病変との区別が可能となります。また腎静脈や下大静脈内腫瘍塞栓の診断にも極めて有用です。
(2)CT検査
 単純CTでは、腎実質と同等かそれよりやや低いCT値を示す腫瘤像を認めます。ときに石灰化を伴うこともあり、通常の撮影条件での造影CTでは、腎実質よりも弱く、内部は不均一に増強される腫瘤として描出されます。またリンパ節の腫大や腎静脈血栓・下大静脈腫瘍塞栓を認めることもあります。
(3)MRI検査
 ガドリニウムで増強される腫瘤として描出されます。得られる情報量としてCTを上回るものはないと考えられていますが、多方面の断面像が得られたり、隣接臓器との立体関係が把握しやすいという利点があります。
(4)血管造影
 侵襲的検査であり、腎細胞がんの診断に必須ではありませんが、CT検査などで診断がつかない場合は行います。また術前に支配血管等についての情報を得るには有用な検査です。選択的腎動脈造影検査では血管過多の像を認めます。

治療の方法

 腎細胞がんは通常の化学療法に対して抵抗性を示すため、手術が治療の原則となります。放射線治療は、脳転移や骨転移のある症例が対象となりますが、原発巣は放射線治療の対象とはなりません。
 周囲組織への浸潤のため、手術適応にならない場合では、経動脈的に腫瘍血管塞栓術が行われます。また、転移巣に対しては、身体状態が良好な場合や肺転移がみられた場合において、INF‐α (アルファ)(インターフェロンα)とIL‐2(インターロイキン2)を中心とした免疫療法が標準治療として行われています。

腎がん(腎細胞がん)に気づいたらどうする

 肉眼的血尿に気づいたら、泌尿器科あるいは腎臓内科の専門医の診察を受けてください。健診などで腎細胞がんが疑われた場合は、ただちに泌尿器科を受診してください。