腎血管性高血圧症とはどんな病気か



 左右どちらか、あるいは両側の腎動脈が狭くなっているために血圧が高くなる病気です(図9)。高血圧患者の0・5〜1%にみられます。
 腎臓は、尿量を変化させることにより、体の水分量を一定に保つはたらきがあり、たとえば汗を大量にかいた時には尿量は減り、逆にビールなどを多量に飲んだ時には尿量が増えます。
 腎動脈が狭くなっていると、腎臓へ届く血液量が少なくなり、腎臓としては体の水分量が少なくなったものと間違って認識してしまい、体内に水分をたくさん蓄えるようになります。その結果として高血圧になります(コラム)。

原因は何か

 腎動脈が狭くなる原因としては、動脈硬化症(粥状硬化症(じゅくじょうこうかしょう))、線維筋性異形成(せんいきんせいいけいせい)、大動脈炎症候群などがあげられます。動脈硬化症は50歳以上の男性に多く、線維筋性異形成や大動脈炎症候群は40歳以下の女性に多くみられます。

症状の現れ方

 血圧が高くなりますが、自覚症状はほとんどみられません。今まで高血圧がなかった人が急に血圧が高くなったり、あるいはそれまでの高血圧が急に進行したりする場合には、腎血管性高血圧が疑われます。
 腎動脈が狭くなっている部分を改善すると、血圧が正常になる可能性があります。

検査と診断

 腎動脈が狭くなっているため、聴診器で腹部に血管雑音が聞かれることがあります。腎臓に流れる血液量が少ないと腎臓でレニンという物質が産生されるので、血液中のレニンの測定をします。
 また画像検査として、超音波(腎動脈超音波ドップラー法を含む)、ヘリカルCT、MR血管造影、レノグラム、腎動脈造影などを行います。最近では、カプトリル負荷試験やカプトリル負荷レノグラムが行われることもあります。
 カプトリル負荷試験とは、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬のカプトリル50mgを内服し、その前後での血液中のレニンを測定するものです。腎血管性高血圧症の場合は、服用後の血液中のレニン値が過大反応を示します。また、カプトリル負荷レノグラムでも左右差が顕著になり、異常がより明確になります。

治療の方法

 薬物療法としては、降圧薬のなかでもとくにACE阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬がよく用いられます。副作用として高カリウム血症に注意します。また、十分に血圧が低下しない場合には、カルシウム拮抗薬や利尿薬などの他の降圧薬が併用されます。
 根本的な治療法として、腎動脈の狭窄(きょうさく)部分を広げる目的で経皮経管腎動脈形成術(PTRA)があり、カテーテルを動脈に通してバルーンで血管を拡張したり、ステントと呼ばれるもので血管を広げる手術が行われています。

腎血管性高血圧症に気づいたらどうする

 高血圧症のなかには、本症のように治療可能なものもあるので、まずは一度、本症であるかどうかを疑うことです。とくに、35歳以下の比較的若年者の高血圧症では、本症を始めとする続発性高血圧症の可能性が高いため、専門医の診察を受けることをすすめます。
 高血圧自体は、放置しておいても自覚症状が非常に少ないのですが、長期間の高血圧は、心不全や動脈硬化狭心症(きょうしんしょう)、心筋梗塞(しんきんこうそく)、脳血管障害、壊疽(えそ)など)を引き起こすばかりではなく、腎機能を障害して腎不全も引き起こします。
 自覚症状がなくても定期的に血圧測定を行い、適切な治療を受けることが必要です。

関連項目

 高血圧症心不全慢性腎不全