膀胱がん<腎臓と尿路の病気>の症状の現れ方

 初発症状として最も多いのは血尿で、赤色や褐色の尿の自覚や、尿検査などで発見されます。この血尿は痛みなどを伴わないのが特徴で、「無症候性血尿(むしょうこうせいけつにょう)」と呼ばれます。病変の場所が膀胱の出口(尿道口や膀胱頸部(けいぶ))に近いと、膀胱炎の症状(頻尿(ひんにょう)、排尿時の疼痛、尿の混濁、残尿感など)、排尿障害などが現れます。
 さらに尿管が閉塞してしまうと、水腎症(すいじんしょう)(尿が流れないため腎臓がはれたり、尿管が拡張した状態)やそれによって腎臓機能が低下することがあります。進行すると痛み、排便の異常、直腸や子宮からの出血を認めることもあります。

膀胱がん<腎臓と尿路の病気>の診断と治療の方法

 治療は、前述の検査によって得られたがんの状態や転移の有無、患者さんの年齢や体力などを考慮して決定されます。

(1)膀胱壁の比較的浅い部分までに限局している場合(表在性腫瘍(ひょうざいせいしゅよう))
 経尿道的膀胱腫瘍切除術が行われます。これは、腰椎麻酔をしたうえで尿道から膀胱鏡を入れ、電気メスで腫瘍を切り取る治療です。また、再発防止のために抗がん薬の膀胱内注入が行われることがあります。
 がんが膀胱壁の最も浅い層である粘膜内に限局している場合(上皮内がん)には、BCG(結核のワクチン)の膀胱内注入が行われることがあります。

(2)膀胱壁のより深い部分に及んでいる場合(浸潤性腫瘍(しんじゅんせいしゅよう))
 標準的な治療としては、膀胱全摘除術および尿路変更術(膀胱を取ったあと、尿を出すための経路をつくる手術)が行われます。これは全身麻酔下で行われる手術で、膀胱と周囲のリンパ節のほかに、男性であれば前立腺(ぜんりつせん)・精嚢(せいのう)(必要であれば尿道も)などを、女性であれば尿道・腟前壁なども同時に摘出する手術です。
 続いて行う尿路変更術には、尿管皮膚瘻(にょうかんひふろう)、回腸導管(かいちょうどうかん)造設術、自然排尿型代用膀胱などがあります。

・尿管皮膚瘻
 左右の尿管を皮膚につなぎ、腎臓までカテーテルを入れて、そこから排尿するものです。手術としては簡単ですが、常に尿が出てくるので袋をつけておかなければなりませんし、感染の危険もあります。

・回腸導管造設術
 小腸の一部を切り取って、そこに左右の尿管をつなぎ、その小腸の一端を皮膚につないで排尿するものです。感染などの合併症が少ない方法ですが、やはり常に袋をつけておく必要があります。

・自然排尿型代用膀胱
 小腸を用いて作成した代用膀胱を元の膀胱と置き換えて、元と同じ尿道口より排尿する方法です。最も生理的な方法ですが、尿道を温存できる場合しか適応となりません。腹圧によって排尿することができますが、うまくできない場合には自己導尿が必要になることもあります。
 これらの尿路変更術の選択は、症例により異なるので、病変の状態や本人の希望、それぞれの長所や短所などを考慮して手術前に十分検討する必要があります。
 転移があるような進行がんや、全身状態に問題がある場合、手術を希望しない場合には、抗がん薬による治療が行われ、通常2種類以上の薬剤を組み合わせて投与されます。
 メトトレキサート(メソトレキセート)、ビンブラスチン(エクザール、ビンブラスチン)、ドキソルビシン(アドリアシン)、シスプラチン(ランダ、ブリプラチン)の4種類を組み合わせたM‐VAC療法が、膀胱がんに対して最もよく行われる化学療法です。放射線併用治療も行われています。
 また、手術の前に抗がん薬による治療を行うこともあり、これは「術前補助療法」と呼ばれます。一方、手術のあとに抗がん薬による治療を行うこともあり、こちらは「術後補助療法」と呼ばれています。