精索静脈瘤とはどんな病気か



 精索の静脈(蔓状(つるじょう)静脈叢(そう))が蛇行(だこう)、拡張し、その程度が強い場合は陰嚢(いんのう)内に腫瘤(しゅりゅう)を形成します(図7)。陰嚢痛を訴えることもあります。80〜90%は左側に生じ、思春期以降に多いのですが小児にもみられ、男性不妊症の原因になることがあります。

原因は何か

 左側の精巣(せいそう)静脈は右に比べて長く、左の腎静脈へと合流していきますが、還流障害が生じて静脈血が停滞・逆流すると、精索静脈がこぶ状に拡張してきます。その原因としては、静脈弁の先天性不全や左腎静脈が上腸間膜(じょうちょうかんまく)動脈により圧迫されることが考えられています。静脈のうっ血により陰嚢内の温度が上昇して、精巣の発育不全、精子の形成不全を引き起こし、不妊症の原因になります。

検査と診断

 精巣の上部に腫瘤を触れたり、陰嚢や鼠径部(そけいぶ)の疼痛を訴えることもあります。数分間立位にして腹圧をかけると腫瘤がはっきりします。患側の精巣が小さいこともあります。アイソトープを使った診断法もありますが、通常は触診と超音波検査で十分診断できます。

治療の方法

 治療は外科手術によります。成人で疼痛が強い場合や、男性不妊症の原因と考えられる場合には手術の適応となります。思春期でも精巣の大きさに差がある場合は、将来の不妊を予防するため手術の適応と考えられています。開腹または内視鏡下で拡張した血管を結紮(けっさつ)(しばる)する方法が通常行われます(高位結紮術)。術式間で手術成績(再発率)にはほとんど差がありません。
 この病気は男性不妊症患者の25〜30% にみられ、手術により精巣の大きさが改善したとの報告はありますが、不妊症が改善するかどうかの結論は、まだ得られていません。