男性不妊症<男性生殖器の病気>の診断と治療の方法


造精機能障害の治療
 造精機能障害の人のなかで、精子濃度や運動率がやや低下している場合は、ビタミン剤、漢方薬を使うことが多いのですが、一部の人を除いてその効果は不明です。
 また、下垂体ホルモンや男性ホルモンが欠乏、あるいは低下している人では、下垂体ホルモン(LHおよびFSH)や男性ホルモンを補充することにより、劇的に改善することがあります。
 精索静脈瘤の場合は、手術をすることで精液所見が改善することがあります。

精路通過障害の治療
 精路通過障害の人の場合は、手術することで妊娠が得られることがあります。たとえば、ふさがっている精巣上体や精管をつなぎ直す手術などがあります。
 逆行性射精とは、勃起して射精はするのですが、精液が膀胱に逆流するため尿道から射出されない病気です。このため、射精感はあるものの、精液がまったく出ないか、非常に少なくなります。時として、無精子症と間違えられることがあるので、注意が必要です。治療は、射精後の尿から精子を回収し、人工受精などを行います。

人工授精と体外受精
 以上の治療で効果がなければ人工授精が行われます。これは、精液検査と同じようにマスターベーションで精液を採取し、軟らかい針で女性の子宮に注入する方法です。精子の濃度や運動率が低下している人では成功率は低いのですが、負担の少ない治療法なので一度は行ってみるべきです。
 しかし、5〜6回人工授精を行っても子どもができない人や、精子の濃度や運動率が非常に低い人には体外受精がすすめられます。これは、細い針を使って女性の卵巣から卵子を取り出し、マスターベーションで得られた精子を試験管のなかでいっしょに培養して受精させたのちに、女性の子宮内にもどす方法です。
 精子の数や運動率がさらに低い人では、試験管内で注射針を使って精子を卵子内に注入して受精させる卵細胞内精子注入法(ICSI)が行われます。
 精液中に精子がほとんど見つけられない高度の乏精子症や無精子症では、精巣や精巣上体、精管を切開して精子を採取し、体外受精を行うこともできるようになりました。この治療法により、染色体に異常のある無精子症の人でも妊娠が得られるようになってきました。
 現在のところ、体外受精で生まれた子どもに異常が多いとの報告はありませんが、成人になった時の妊孕(にんよう)性(妊娠できるかどうか)、あるいは発がん性などの安全性は不明なので、十分な説明を受けて納得したうえで、治療を受けてください。
 インポテンツや腟内射精障害の人では、マスターベーションにより得られた精子で人工授精することもできます。これでも精子が採取できない人は、精巣上体や精巣から精子を採取して人工授精あるいは体外受精を行います。
 脳脊髄損傷によるインポテンツや射精障害では、陰茎をバイブレーターで刺激する方法や肛門から電極を挿入して電気刺激する方法が効果をあげています。