思春期早発症・遅発症とはどんな病気か

 思春期早発症は、思春期以前に男性ホルモンが過剰に産生され、性成熟が早く出現した病的状態です。
 思春期遅発症は、単に思春期の発来が遅れた状態で、類宦官症(るいかんがんしょう)とは違って病的ではありません。

原因は何か

 生殖に関係する内分泌機能は、視床下部(ししょうかぶ)‐下垂体(かすいたい)‐精巣(せいそう)を軸とした系により調節されています。視床下部からは性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRHまたはLH‐RH)、下垂体からは性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)、精巣からは男性ホルモン(テストステロン)が分泌されます。
 思春期の初期には「寝る子は育つ」のたとえのように、睡眠中にGnRHの刺激を受けたゴナドトロピン(LH、FSH)、テストステロンの間欠的な分泌亢進がみられ、次第に昼間の基礎値も増加して男性化が進みます。
 思春期早発症は早期に男性ホルモンの分泌が亢進した状態で、中枢性のGnRHの分泌が亢進し、ゴナドトロピン分泌、性ホルモン分泌が増加して性早熟を来した場合を真性(しんせい)思春期早発症、GnRHとは無関係に性早熟を来した場合を仮性(かせい)思春期早発症といいます。
 真性では原因疾患が特定できない特発性(とくはつせい)(本態性)が最も多く、最近では画像診断の発達もあり、頭蓋内の病変によって性早熟を生じる脳性(中枢性)思春期早発症が増えています。この大部分は腫瘍によるもので、視床下部や松果体(しょうかたい)の腫瘍が多くみられます。
 仮性では、先天性副腎皮質過形成(ふくじんひしつかけいせい)や副腎腫瘍、精巣腫瘍などによるものがあります。

検査と診断

 10歳未満で陰茎(いんけい)の発達、陰毛・ひげの発生などの症状を認めれば本症を疑います。両側の精巣が腫大したものでは真性が、片側の腫大では精巣腫瘍が、両側とも腫大がみられない場合には副腎性が疑われます。
 血中ゴナドトロピン値(LH、FSH)、絨毛性(じゅうもうせい)性腺刺激ホルモン(hCG)、テストステロン値が高くなります。そのほか、GnRH負荷試験、hCG負荷試験などを行います。副腎性の場合には副腎由来の男性ホルモンである副腎性アンドロゲン(DHEA)が高値を示すことがあります。また、頭部や腹部のCT、MRI検査で腫瘍などの器質性病変がないか調べる必要があります。

治療の方法

 脳腫瘍によるものや仮性思春期早発症で腫瘍によるものでは、外科手術が第一選択になります。切除が不可能な場合には放射線療法も行われます。
 副腎皮質過形成の場合は、副腎皮質ホルモン薬を投与してACTHを抑制し、DHEAを低下させて男性化を防ぎます。
 特発性の大部分を占めるGnRH依存性の症例では、GnRHアナログ製剤(リュープリン)が最も有効で、4週間ごとに皮下注射を行います。身長の増加や骨年齢に留意しながら治療を行う必要があります。