副甲状腺機能亢進症<内分泌系とビタミンの病気>の症状の現れ方

 多くの場合、あまりはっきりした症状はみられません。高カルシウム血症の症状としては、倦怠感(けんたいかん)、食欲不振、吐き気、多尿、口の渇きなどがみられますが、とくにカルシウム濃度の上昇が軽度(11〜12mgdl以下)の時にはほとんど無症状で経過します。手術をして治ってから初めて、病気による症状があったことに気づくこともあります。
 最近は、健康診断などで血中カルシウム濃度を測定する機会が増えたため、偶然、高カルシウム血症を発見されて診断に至る例が増えています。
 しかしながらまれに、急速に病気が進行して高度のカルシウム血症(15mgdl以上)を来すと、意識障害などを伴った生命に関わる状態(高カルシウムクリーゼ)になり、緊急を要することもあります。
 症状に乏しい場合でも、副甲状腺機能亢進症が長い間続くと、PTHが骨の吸収を促進するために骨粗鬆症になったり、腎臓へのカルシウムの負荷が高まるために尿路結石や腎障害を生じることがあります。また、この病気には胃潰瘍(いかいよう)、膵炎(すいえん)、高血圧などの合併もみられます。

副甲状腺機能亢進症<内分泌系とビタミンの病気>の診断と治療の方法

 治療の原則は、腫大した副甲状腺を摘除する手術です。腺腫の場合には、通常ひとつの腺だけの異常なのでこれを摘出します。見かけ上、ほかの3腺が正常でも、過形成であることもあるので、同じ側のもう1腺も組織を調べるために摘除します。最近では、以前に比べてより体への負担が少なく、傷跡が目立たない新しい手術方法が行われるようになりつつあります。
 過形成の場合には、4腺全部を摘出する必要があります。そのままでは低下症になってしまうので、通常、1腺の半分だけを上腕に自家(じか)移植します。こうしておくと万が一機能亢進症が再発しても簡単に摘除することができます。
 高カルシウム血症が軽度な場合には、かなり長い間無症状で経過することが多いため、腎障害、骨粗鬆症などの程度や患者さんの年齢によって、手術の適否を決定するガイドラインが決められています(表3)。