副腎性器症候群(先天性副腎過形成)とはどんな病気か

 副腎皮質(ふくじんひしつ)からは、コルチゾールとアルドステロンという生命の維持に必要な2種類のホルモンのほかに、男女を問わず、男性化作用のあるホルモン(アンドロゲン)もわずかに分泌されています。副腎性器症候群は、副腎皮質のはたらきの異常により、コルチゾールやアルドステロンの分泌が低下し、一方、アンドロゲンが過剰に分泌される病気です。

原因は何か

 副腎皮質ステロイドホルモンは、コレステロールからさまざまな酵素の影響を受けて合成されます。
 この酵素が先天的に欠けるとコルチゾールがつくられず、これを刺激しようと下垂体(かすいたい)から分泌される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が増え、副腎が大きくなります。これは、体が生命の維持に必要な糖質コルチコイドを何とか作りだそうとする生理的な反応のためです。ACTHの過剰な刺激により、はれて大きくなった副腎からはアンドロゲンの分泌が増えます。
 コルチゾールの合成に関わる酵素は数種類あり、欠ける酵素の種類により病気のタイプが分かれ、症状も少しずつ違っています。いずれも常染色体劣性遺伝(じょうせんしょくたいれっせいいでん)による異常です。日本では、21‐水酸化酵素の欠損が最も多く認められます。

症状の現れ方

 男女にかかわりなく発生します。女児の場合は陰核(いんかく)が大きくなり、性器はどちらかというと女性よりも男性的な外見になります。生殖器官(子宮、卵巣、卵管)の構造は正常です。成長するにしたがって男性化が顕著になり、声が太く、顔が毛深くなります。男児の場合は、出生時にはとくに異常はみられませんが、幼少時から陰茎(いんけい)が発育し、陰毛が生えて声が太くなります。男女児とも、早い時期に発育が停止してしまいます。
 また、この病気のなかでも重症のタイプでは、新生児期から副腎不全が発生します。嘔吐、脱水、電解質(酸・塩基など)の異常、不整脈などの症状が現れ、適切な治療をしないと生後数日で死亡してしまいます。

検査と診断

 現在日本では、21‐水酸化酵素欠損症を見つけるため、新生児スクリーニング検査を行っています。尿中の副腎皮質ホルモンと、その代謝物質を測定することで、どの酵素が欠けたのか推定することができます。症状の軽い不完全型の場合は、副腎皮質刺激ホルモンの負荷後にこれらを調べることで、ようやく診断できることもあります。

治療の方法

 治療の目的は、不足したコルチゾールやアルドステロンを補い、アンドロゲンの値を正常にもどすことです。下垂体からのACTHが出すぎないように、副腎皮質ステロイド薬(デキサメサゾン、フルドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンなど)の補充を行います。女児で外性器が男性的なものは1〜3歳の間に形成手術を行って、形状の異常を矯正します。

副腎性器症候群(先天性副腎過形成)に気づいたらどうする

 子どもがこの病気をもつ両親は、副腎皮質ステロイド薬ののみ方と副作用について説明を受けてください。けがや発熱で強いストレスを受けた時は医師に報告し、薬の量を増やしてもらいます。副腎皮質ステロイド薬の服用を突然やめると、急性副腎不全を起こします。なお、家系に副腎性器症候群の遺伝がある人、または副腎性器症候群の子どもをもつ人は、遺伝相談を受けることをすすめます。