真性多血症(真性赤血球増加症)とはどんな病気か

 真性多血症は、造血幹細胞(ぞうけっかんさいぼう)(すべての血液細胞のもとになる細胞)が腫瘍化して発生する血液腫瘍疾患のひとつです。慢性骨髄性白血病(まんせいこつずいせいはっけつびょう)骨髄線維症(こつずいせんいしょう)本態性血小板血症(ほんたいせいけっしょうばんけっしょう)と同じく、慢性骨髄増殖性疾患に属します。

原因は何か

 JAK2と呼ばれる遺伝子の異常が、発症に深く関わっていると考えられています。しかし、いわゆる遺伝性疾患ではなく子孫への影響はありません。慢性骨髄性白血病と異なり、フィラデルフィア染色体(慢性骨髄性白血病)の形成は認められません。

症状の現れ方

 赤ら顔、眼の結膜の充血、頭痛、耳鳴りめまい、皮膚のかゆみ(とくに入浴後)、高血圧などがあり、皮下出血、寝汗、体重減少が現れる場合もあります。
 さらに、一過性脳虚血発作(いっかせいのうきょけつほっさ)、脳梗塞(のうこうそく)、心筋梗塞(しんきんこうそく)、深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう)などの血栓(血管内での血の塊)症を合併する場合もあります。脾臓(ひぞう)のはれがあると腹部の圧迫、膨満(ぼうまん)を感じます。また、消化性潰瘍を合併することが多いのも特徴的です。

検査と診断

 血液検査で、赤血球の著しい増加が特徴的ですが、白血球および血小板も多くの場合で増加します。血液中のビタミンB12の量が増加し、エリスロポエチン(赤血球を増やす物質)濃度は低下します。また、脾臓のはれをしばしば認めます。

鑑別診断

 赤血球の増加は、真に赤血球数が増加する場合(絶対的赤血球増加症)と、見かけ上の増加(相対的赤血球増加症)とに大きく分けられます。この両者を区別するためには、放射線で標識をつけた赤血球を用いて循環赤血球量を測定する必要があります。


 表9に示すように、絶対的赤血球増加症の代表的疾患が真性多血症です。しかし、心臓疾患や肺疾患あるいは過度の喫煙に伴う低酸素血症や、エリスロポエチン産生悪性腫瘍により二次的に絶対的赤血球増加症が起こる場合があります。
 したがって、真性多血症と診断するためには、動脈血酸素飽和度などを確認して、これらの原因を除外する必要があります。一般的に、低酸素血症による赤血球増加の際には白血球あるいは血小板数の増加を伴わず、脾臓のはれも認めません。
 絶対的赤血球増加症を起こす二次性赤血球増加症については次項をみてください。また、相対的赤血球増加症についてはコラム(ストレス性赤血球増加症)を参照してください。
 真性多血症は、慢性骨髄性白血病との区別が重要です。慢性骨髄性白血病とは、骨髄検査による骨髄の形態の比較のほかに、フィラデルフィア染色体およびBCRABL遺伝子を認めないこと、好中球アルカリフォスファターゼ活性が低下しないことで区別します(慢性骨髄性白血病)。

治療の方法

 瀉血(しゃけつ)(静脈血を除去する)および経口抗がん薬による赤血球数のコントロールが主となり、症状、年齢に応じて選択します。
(1)若年者
 比較的若年の人に対しては、瀉血によるコントロールが主体になります。しかし、赤血球の増加が高度で瀉血を何度も必要とする場合や、脳梗塞心筋梗塞などの血栓症の危険性が高いと判断された場合は、ハイドロキシウレア(ハイドレア)、ブスルファン(マブリン)などの経口抗がん薬を用います。
(2)高齢者
 70歳以上の高齢者に対しては、経口抗がん薬によるコントロールが主となり、必要に応じて瀉血も考慮されます。
 そのほか、血栓症の合併を予防するために、アスピリン(バイアスピリン)、チクロピジン(パナルジン)などの抗血小板薬も用いられます。

生活での注意

 食事、運動、旅行など日常生活全般についての制限はほとんどありませんが、定期的に血液検査を受けることが必要です。ハイドロキシウレア(ハイドレア)を服用している時には、足の皮膚潰瘍などの副作用に注意します。

消耗期

 一部の真性多血症では、骨髄が硬くなる状態(骨髄線維化)へと変化することがあり、これを消耗期と呼んでいます。この場合は、逆に貧血や血小板の減少がみられ、輸血療法が必要となることがあります。