多形(滲出性)紅斑、スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死融解症とはどんな病気か

 多形(滲出性)紅斑は、親指の頭くらいの円形の紅斑が多発する皮膚病で、大きく2つのタイプに分けられます。
 第一は、春から夏にかけて若い女性に多くみられ、発熱などの全身的な症状はほとんどなく、手の甲から肘(ひじ)にかけてと足の甲から膝(ひざ)にかけて紅斑が生じるタイプです。かゆみはあるものの軽症です。
 第二は、紅斑が全身の皮膚の広い範囲に生じるやや重症のタイプです。発熱や口腔粘膜の症状を伴う場合もあり、スティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死融解症(TEN)といった生命を脅かしたり、失明など眼に後遺症を残すことのある最も重症なタイプとの区別が重要です。スティーブンス・ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死融解症は、歴史的には別個の病気として取り扱われてきましたが、近年では90%以上の症例では、病気の本質は同じで、程度の差による違いと考えられています。

原因は何か

 紅斑が四肢に限られる軽症型では感染アレルギーが考えられています。単純ヘルペスウイルスとの関連が明らかなケースもあります。全身に紅斑が多発するタイプや最重症型のスティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死融解症では薬剤が原因のことが多いのですが、肺炎マイコプラズマが原因と考えられる症例や原因がわからない症例もあります。

症状の現れ方



 円形の紅斑は二重の輪郭(りんかく)を示し、辺縁が少し盛り上がり、中央がくぼんだ標的の形をしたものや、平らなもの、紅斑の上に水疱(すいほう)やびらんを伴うものなどがあります(図6)。


 スティーブンス・ジョンソン症候群では、高熱とともに多形紅斑様の発疹が現れ、水疱・びらんを伴います。眼、口、陰部などの粘膜にも高度のびらんがみられます(図7)。皮膚のびらんが体表面積の10%未満であればスティーブンス・ジョンソン症候群、10%を超えると中毒性表皮壊死融解症と呼ばれます。

検査と診断

 重症型の多形紅斑やスティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死融解症が疑われる場合は、緊急に皮膚生検(皮膚を数mm切り取って調べる病理組織検査)を行い、診断を確定する必要があります。麻疹(ましん)や水痘(すいとう)などのウイルス感染症との区別が難しい場合にも、病理検査が役立ちます。

治療の方法

 多形紅斑では、薬剤が原因であれば疑わしい薬剤を中止するだけで快方に向かいます。病理検査の結果、スティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死融解症の早期であれば、十分量の副腎皮質(ふくじんひしつ)ステロイド薬の点滴注射や血漿交換療法(けっしょうこうかんりょうほう)が行われます。すでに広範囲の皮膚がびらんの状態であれば、重症のやけどに準じた治療になります。
 死亡率はスティーブンス・ジョンソン症候群で6・3%、中毒性表皮壊死融解症では21・6%に達します。失明を含む眼の後遺症を残すことがあり、重大です。

多形(滲出性)紅斑、スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死融解症に気づいたらどうする

 紅斑が四肢だけで、高熱や粘膜症状がなければ、近くの皮膚科専門医を受診してください。
 紅斑が広範囲に多発し、水疱やびらんのある場合や、高熱や眼の充血、唇・口のなか・陰部のびらんを伴う場合は重症と考えられるので、すみやかに入院可能な総合病院の皮膚科を受診してください。