下腿潰瘍、糖尿病性皮膚潰瘍、コレステリン塞栓症とはどんな病気か

 下腿にできる潰瘍のうち、90%が静脈性(うっ血性)で5%が動脈性(虚血性)であるため、下腿潰瘍とは静脈の還流障害による慢性の湿疹に引き続き生じるうっ滞性潰瘍を指すことが多く、くるぶしよりやや上方に生じます。
 糖尿病性皮膚潰瘍は、糖尿病足病変(とうにょうびょうそくびょうへん)の重要な合併症で、知覚鈍麻や感染を伴っていることが多く、長期の糖尿病でコントロールの悪い場合にみられます。
 コレステリン塞栓症は、動脈硬化性疾患の人がカテーテル検査などを受けた時、大動脈の血管壁にある粥状硬化巣(じゅくじょうこうかそう)のコレステロール結晶が飛散して、足趾(そくし)(足のゆび)の末梢血管に塞栓を形成して病変を起こす医原性疾患です。

原因は何か

 静脈性下腿潰瘍は立ち仕事などによる静脈瘤(じょうみゃくりゅう)が原因となり、下肢静脈弁の機能不全などにより静脈内圧が上がることで血漿(けっしょう)成分がもれ出て下肢のうっ滞状態が続き、潰瘍ができます。
 糖尿病の皮膚潰瘍の発症機序は、末梢神経障害による場合と、微小循環障害および閉塞性動脈硬化症による動脈性虚血病変による潰瘍の2つに分けられますが、しばしば両者は混在してみられます。
 コレステリン塞栓症は前述したように医療行為が原因(医原性)で、バイパス術などの血管手術、心臓カテーテル検査などの血管内操作、抗凝固薬や血栓溶解療法によって起こります。

症状の現れ方



 うっ滞性潰瘍は下腿の下3分の1に好発し、むくみ、色素沈着、辺縁が鋭利な潰瘍病変を形成します(図15)が、痛みが少なく放置され大型化して医療機関を訪れる場合もあります。
 糖尿病性皮膚潰瘍は、足のうら、かかと部、足趾(そくし)背面や骨変形部位に生じる末梢神経障害による場合と、足趾の先端や足の側縁に生じる虚血性潰瘍がよくみられます。感染により急速に足背面から下腿に拡大したり、虚血により足指が黒化し、壊疽(えそ)に発展する場合もあります。
 コレステリン塞栓症では、血管内操作や血栓溶解療法の直後もしくは数週後に足趾に暗紫紅色(あんしこうしょく)の網状皮斑(もうじょうひはん)がみられ(ブルートウ症候群)、たちまち紫斑やチアノーゼを生じ、さらに足趾の潰瘍・壊疽へと進展します。

検査と診断

 うっ滞性潰瘍には、静脈瘤の診断にカラードプラー法などの超音波検査を行い、まれに静脈造影を行い、診断の助けにします。
 糖尿病性潰瘍では、糖尿病の採血検査一般、血管の閉塞状態を調べる血圧脈波検査、末梢の血流量の評価として皮膚灌流圧(SPP)測定、画像検査として造影CT、MRIによる血管造影を行い、総合的に血管の虚血の病態を評価します。
 コレステリン塞栓症の診断は、病歴からまず本症を疑ってみることと、皮膚の生検で組織内に小血管の針状の裂隙(れつげき)(コレステロール裂隙)を確認することです。末梢の好酸球増加も多くの例でみられます。

治療の方法

 静脈性下腿潰瘍は静脈のうっ滞をとることが重要で、血管強化薬と潰瘍の塗り薬を塗り、弾性ストッキングを着用することが有用です。静脈うっ滞の程度により、静脈瘤の硬化療法という人工的に薬剤を静脈内に注入し、静脈を固めてしまうという外科的治療を行います。
 糖尿病性潰瘍には日常のフットケアに加えて、コラムで述べる医療チームによる定期的な足のチェックを予防的に行います。足の色の変化など早期病変が確認されれば、知覚低下などの神経障害、骨変形の有無、血行の評価、難部組織炎、骨髄炎の確認などにより潰瘍の評価を行い、抗生剤の服用、デブリドメント(切除)などによる皮膚潰瘍の処置を行い、循環改善薬を併用します。壊疽を起こした場合は断肢術となります。
 コレステロール塞栓症には、血管拡張薬の服用、持続的硬膜外麻酔、LDLアフェレーシスによるコレステロール結晶の除去やステロイド薬の服用も有効とされています。

下腿潰瘍、糖尿病性皮膚潰瘍、コレステリン塞栓症に気づいたらどうする

 下腿や足の治りにくい潰瘍に対して的確な診断をあおぐためにも、皮膚科、形成外科、整形外科、血管外科などの総合専門病院での診察を受けることが大切です。