熱傷(やけど)とはどんな障害か

 熱傷(やけど)は高熱による皮膚の障害です。受傷部位に発赤(ほっせき)、水ぶくれ、痛みが現れます。熱傷の面積が広いと血圧低下、尿量の減少、頻脈(ひんみゃく)、感染症などの全身症状が現れます。

原因は何か

 熱源としては熱湯が最も多く、次いで暖房器具、バイクの排気などが多いのですが、火災や爆発による場合もあります。爆発による熱傷では、気道の熱傷もみられることがあります。アンカや温風による低温熱傷では、みかけより損傷が深くなります。特殊なものとしては酸、アルカリなどによる化学熱傷があります。

症状の現れ方

 強い痛みが初期症状ですが、深い熱傷では神経の障害のため痛みがない場合があります。熱傷の深さによって1度、2度、3度の熱傷に分けられています。
1度熱傷
 最も軽いタイプで、表皮のみが障害を受けて、皮膚が赤くなってヒリヒリと痛みますが、水疱(すいほう)(水ぶくれ)にはなりません。通常は1週間以内に治ります。
2度熱傷
 表皮の下の真皮に達する熱傷です。強い痛みがあり、熱傷受傷後24時間以内に水疱ができます。浅い2度熱傷は2〜3週間程度で治り、跡形を残しませんが、深い2度熱傷は治るまでに3週間以上かかり、痕形を残します。
3度熱傷
 皮膚は壊死(えし)を起こして神経も変性するため、むしろ痛みを感じません。皮膚表面は白くなり、あるいは黒く硬い焼痂(しょうか)(焼けこげて黒くなった状態)でおおわれていることもあります。壊死を起こした皮膚はやがて脱落しますが、その後は深い潰瘍となります。
 熱傷を起こした部分に感染を起こすと、傷は深くなり、治りにくくなるとともに痕形も残りやすくなります。
 広範囲の熱傷では、循環血液量の減少に伴って尿量の減少や頻脈がみられることがあります。受傷面積が10%以上あればショック(血圧低下を来す)を起こす可能性があり、小児では5%でもそのおそれがあります。
 深い熱傷が治ったあとは、隆起した肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)(ケロイド様の痕形)となりますが、関節部では拘縮(こうしゅく)(硬くなってひきつれること)を起こして、伸展・屈曲の際に可動制限が生じることがあります。

検査と診断

 3度熱傷かどうかの検査は、針による痛覚試験を行いますが、痛みがある場合はその必要はありません。熱傷範囲が広い場合は、血圧や尿量のチェックのほかに、さまざまな合併症が起こる可能性があるので注意深い観察と検査が必要です。

治療の方法

 初期治療は、冷やすことです。1度熱傷のような軽症であれば、無治療またはステロイド外用薬のみの使用で軽快します。
 2度熱傷の場合は、水疱部を消毒のうえ穿刺(せんし)して、なかにたまった液体を抜きますが、水疱の蓋は取り除きません。水疱の蓋(ふた)が取れてしまった場合は、ブタの乾燥皮膚やハイドロコロイドなどの被覆材を貼付(ちょうふ)したり、創部にトラフェルミン(創傷治療促進薬)を使用する場合もありますが、必ずしも必要ではありません。
 ワセリンなど症状に適した外用薬をガーゼに伸ばして患部にあて、ぬらさないように注意をします。ただし、顔面はガーゼをあてないで、開放のままにする開放療法がよいとされています。表皮の形成が遅く潰瘍が続く場合は、壊死組織や変性組織の除去と皮膚移植が行われます。
 3度熱傷では、壊死組織を除去しないと治癒が遅れ、壊死組織の下で細菌が繁殖しやすくなります。
 広範囲の熱傷では血液量が減少し、血圧低下や腎機能低下の原因となるので輸液が必要になります。早期に輸液を行わないと、ショックを起こして生命に危険が及びます。

応急処置はどうする

 初期治療で最も大切なことは冷やすことですが、受傷後ただちに冷やすことが重要です。流水で30分以上冷やすのが効果的ですが、小児や高齢者では冷やした時の体温の低下に気をつけます。
 脱がせにくい衣服を着ている場合は、衣服の上から水道水で冷やし、その後、衣服を脱がしてから再び冷やすようにするのがよいでしょう。それから病院を受診するようにしてください。
 熱傷面積が10%以上(小児は5%)で広範囲にわたる場合は、ショックなどの全身症状が現れる場合があるので、入院治療が必要になります。