ダリエー病とはどんな病気か



 主として脂漏(しろう)部位や間擦(かんさつ)(こすれる)部位に角化性丘疹(かくかせいきゅうしん)が生じる病気です(図21)。角化性丘疹が主症状であるため、毛包性角化症(もうほうせいかくかしょう)の別名があります。幼児期から青年期に発症します。

原因は何か

 常染色体優性(じょうせんしょくたいゆうせい)遺伝性の病気で、小胞体カルシウム‐ATPアーゼという酵素を作成する遺伝子に変異があるために生じます。SERCAは、ATP分解によって得られるエネルギーを利用して、細胞質内のカルシウムイオンを小胞体(しょうほうたい)のなかに輸送している蛋白質です。

症状の現れ方

 角化性小丘疹(多発、融合、しばしば湿潤(しつじゅん))が、主に顔面、体幹、陰股部(いんこぶ)、腋窩(えきか)などの脂漏・間擦部に多発してきます。時に水疱(すいほう)も現れます。皮膚の症状は夏期に悪化し、悪化時には湿潤(しつじゅん)して悪臭を放ちます。
 定型疹は、帽針頭大までの角化性丘疹で自覚症状のない場合が大部分ですが、時にかゆみがあります。手のひら、足の裏では点状の小陥没がみられることもあります。
 手の指背や足の趾背(しはい)では、灰白色〜赤褐色で直径が1〜数mmの扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)のような丘疹(きゅうしん)がみられることもあります。爪はしばしば肥厚、混濁、脆弱化(ぜいじゃくか)(もろくなる)します。口腔、食道、外陰などに粘膜症状を示すこともあります。
 まれに精神症状(精神発達遅滞やてんかん、性格変化、精神発育障害)もみられます。
 細菌やウイルス感染の合併、とくに単純疱疹(ほうしん)の合併が起こりやすいので注意をする必要があります。また、発汗による悪化や湿疹化もみられます。

検査と診断

 特徴的な臨床像(常染色体優性遺伝であること、幼児期〜青年期の発症であること、主として脂漏・間擦部に現れる角化性丘疹)と、その組織学的所見により診断は容易です。SERCA遺伝子の変異を検出することにより確定診断ができます。
 精神神経疾患(とくにてんかん)が合併していると考えられる時は、脳波検査で異常波の出現を検索します。病変部皮膚の病理組織学的検査では、角質増殖、不全角化(ふぜんかくか)および表皮肥厚(ひょうひひこう)のほか、有棘層(ゆうきょくそう)上層から角質層にかけて異常角化細胞が現れてきます。
 脂漏性湿疹(しろうせいしっしん)、黒色表皮腫(こくしょくひょうひしゅ)、疣贅状(ゆうぜいじょう)表皮発育異常症、家族性良性慢性天疱瘡(てんぽうそう)ヘイリー・ヘイリー病)などとの区別が必要になります。

治療の方法

(1)レチノイド(チガソン)(10mg)4カプセルを2回に分けて服用します。 (2)5%サリチル酸ワセリンを1日2〜3回患部に塗り、痂皮(かひ)(かさぶた)や鱗屑(りんせつ)(皮膚表面からはがれ落ちる角質)の除去に留意します。 (3)この病気では細菌感染症が起こりやすく、またウイルス感染症であるカポジ水痘様発疹症(すいとうようほっしんしょう)も合併しやすいので、発症時には適当な抗生剤や抗ウイルス薬である塩酸バラシクロビル(バルトレックス)の内服などを行います。

ダリエー病に気づいたらどうする

 皮膚科専門医を受診して正しい診断をつけてもらい、適切な治療を受けるようにします。皮膚を清潔にして感染症を予防します。

関連項目

 脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)黒色表皮腫家族性良性慢性天疱瘡(ヘイリー・ヘイリー病)