皮膚結核は大きく、真性(しんせい)皮膚結核(結核菌が皮膚に侵入してそこに病巣をつくる)と結核疹(けっかくしん)(体内のほかの結核病巣が原因となって皮膚に病変が起こる)に分けられます。
 真性皮膚結核には、尋常性狼瘡(じんじょうせいろうそう)、皮膚腺病(ひふせんびょう)、皮膚疣状結核(ひふゆうじょうけっかく)などがあり、病変部から皮膚組織をとって結核菌を培養したり、核酸増幅法(かくさんぞうふくほう)という特殊な検査で結核菌を証明します。
 一方、結核疹には、壊疽性丘疹状(えそせいきゅうしんじょう)結核疹、バザン硬結性紅斑(こうけつせいこうはん)などが含まれ、皮膚病変部には結核菌はいません。
 いずれも、体のほかの臓器の結核病巣を積極的に調べる必要があります。
(1)尋常性狼瘡(じんじょうせいろうそう)
 結核菌に対して免疫がある人の皮膚に、結核菌が感染して起こります。非常にまれな病気ですが、真性皮膚結核のなかでは皮膚腺病とともに多い病気です。結核菌は、肺などほかの臓器の結核病巣から血液やリンパ管を介して、あるいは外部から皮膚に感染して発症します。


 顔や首によく発生します。粟粒(ぞくりゅう)大の黄赤褐色調の塊が次第に融合して赤い局面となり、辺縁に広がってゆき中心は傷跡のようになります(図54)。丸い潰瘍ができたり、初めから不規則な塊ができる場合もあります。
 診断は、発疹の特徴、皮膚からとった組織の所見、結核菌の証明などから行います。ゴム腫、円板状エリテマトーデスハンセン病サルコイドーシススポロトリコーシス、クロモミコーシスなどとの区別が必要です。
 治療は、抗結核薬のイソニアジドとリファンピシンの2剤やエタンブトールを加えた3剤を一緒に内服する併用療法を行いますが、半年から1年継続することが必要です。治っても瘢痕(はんこん)を残し、そこに有棘(ゆうきょく)細胞がんが発生すること(狼瘡がん)があります。
(2)皮膚腺病(ひふせんびょう)
 首や腋(わき)の下などに、皮膚に近いリンパ節、骨、関節、筋肉、あるいは腱の結核病巣から結核菌が皮膚へ直接感染して起こる病気です。非常にまれですが、真性皮膚結核のなかで尋常性狼瘡とともに多い病気です。活動性の肺結核を伴っていることがあります。


 通常は首のリンパ節がはれることから始まり、その塊が少しずつ大きくなって皮膚と癒着して膿瘍(のうよう)となり(図55)、皮膚が自然に崩れて潰瘍ができます。膿瘍は皮膚のなかで互いにトンネル状に連なって、凹凸の目立つ瘢痕をつくります。
 検査は、病巣からうみをとって結核菌の培養を必ず行います。ツベルクリン反応は陽性となり、赤沈も亢進します。病巣部の範囲をCTやMRIで確認し、ほかの臓器に結核病変がないかを調べます。
 診断は、皮膚病変の特徴などから容易ですが、ゴム腫、悪性リンパ腫非結核性抗酸菌症(ひけっかくせいこうさんきんしょう)などとの区別が必要です。
 治療は、抗結核薬のイソニアジドとリファンピシンの2剤やエタンブトールを加えた3剤の併用で、半年から1年間の内服が必要です。
(3)皮膚疣状結核(ひふゆうじょうけっかく)
 皮膚病変がいぼに似ている皮膚結核で、皮膚に傷を受けやすい四肢やお尻にできることが多く、慢性に経過します。結核菌が外部から皮膚の傷に感染して発症します。
 赤茶色のぶつぶつとして始まり、少しずつ広がりながら表面はいぼ状となります。中央は瘢痕(はんこん)を残して治ってきますが、辺縁は堤防状、いぼ状に盛り上がって、弧を描いたように連なってゆき、慢性に経過します。
 ツベルクリン反応は陽性になります。皮膚をとって組織の検査を行い、また、結核菌も必ず培養して診断の参考にします。尋常性狼瘡(ろうそう)、クロモミコーシスなどとの区別が必要です。
 治療は、尋常性狼瘡に準じて抗結核薬を内服します。
(4)壊疽性丘疹状結核疹(えそせいきゅうしんじょうけっかくしん)
 主に四肢の前側に、暗赤色のぶつぶつが多数できて、その中心部はかさぶたとなって取れ、小さい潰瘍となります。自然に治癒しますが、次々と新しいものができ、古いものと新しいものが混在します。比較的若い女性に多く発症します。
 結核菌、あるいはその代謝産物に対するアレルギーにより、皮膚の浅い部分の血管に炎症が起き、皮膚が小さく壊死(えし)して病変ができると考えられています。皮膚病変部には結核菌は見つかりません。
 抗結核薬などが使用されますが、治療に抵抗することが多く、皮膚病変は出たり消えたりします。
(5)バザン硬結性紅斑(こうけつせいこうはん)


 主に女性の両方のすねに生じます。初めはエンドウマメ大くらいのしこりを触れる赤紫がかった斑点で、次第に大きくなり、古くなると表面が崩れて潰瘍になることがあります(図56)。痛みはひどくありません。
 結核菌に免疫がある人の皮膚に、結核菌あるいはその毒素などが到達して起こるとされていますが、ほかの臓器に活動性の結核の合併が少ないこと、結核菌が見つけられないことなどから、結核との関連を否定する考え方もあります。
 よく似た病気には、結節性紅斑(こうはん)血栓性静脈炎ベーチェット病などがあり、区別するためには皮膚組織を取って調べる検査が必要です。
 治療は、下肢の安静が最も重要です。抗結核薬や非ステロイド性消炎薬も用いられます。