レックリングハウゼン病とはどんな病気か

 従来、神経線維腫症(しんけいせんいしゅしょう)と呼ばれていたものが遺伝子診断の発達により1型と2型に分けられて、レックリングハウゼン病は1型を指すようになりました。遺伝子の異常に違いがあり、1型は皮膚症状が強く出るタイプで、2型は脳腫瘍(のうしゅよう)などが強く出るタイプと考えてよいようです。
 レックリングハウゼン病は遺伝病で常染色体優性(じょうせんしょくたいゆうせん)遺伝ですが、両親にこの症状がない場合もあります。
 日本での患者数は人口10万人に30〜40人とされ、単一の遺伝病としては頻度が高い部類に入ります。


 出生直後は茶褐色の平らな斑(カフェオレ斑)が複数個以上みられるだけです。とくに6個以上あると、この疾患の可能性が考えられます。児童期〜思春期前後から、程度の差はあれ、体のさまざまな部位に数mm〜数十cmにわたる大小さまざまな軟らかな皮下腫瘤(ひかしゅりゅう)(神経線維腫)が現れてきます(図72)。数が次々と無数に増える場合と、ゆっくり増える場合とがあります。場合によっては巨大化し、皮膚面からぶらさがるように大きくなることもあります。時に皮下腫瘍が悪性化する場合もあり、その例では致命的になります。
 内臓の変化はさまざまで、脊椎(せきつい)の側弯(そくわん)、眼の変化、脳腫瘍、脊椎神経の神経線維腫、知能障害、呼吸器の病変、循環器の病変、消化管の病変などがあります。ただしこの変化も程度がさまざまで、すべての症状があるわけではありません。とくに脳腫瘍は1型では少なく、2型では聴神経腫瘍(ちょうしんけいしゅよう)を中心としたものが多くみられます。2型の場合は皮膚の症状は1型に比べ少ないようです。

検査と診断

 生後に気づいた茶褐色の平らなあざが多い場合は、注意深く経過をみます。次第に皮下腫瘤が現れてくるので診断は容易です。内臓病変などの検査は画像診断(X線、CT、MRIなど)によることが多くなります。

治療の方法

 基本的に遺伝的疾患なので、対症療法になります。神経線維腫の増加が抗アレルギー薬の内服を続けると抑制されるという報告もありますが、まだ一般的ではありません。
 皮膚の病変は主に神経線維腫(しんけいせんいしゅ)の見た目の問題を考え、気になるところを切除していきます。しかし数があまりに多いため、一度に200個以上の腫瘤(しゅりゅう)を切除しても、あまり見た目が変わらない場合もあります。ただ急激に腫瘤が大きくなる場合は悪性化の可能性があるため、病理組織診断を兼ねて早めに切除したほうがよいでしょう。
 内臓の病変に対してはそれぞれの変化、症状に応じて対処が必要になります。

レックリングハウゼン病に気づいたらどうする

 生まれつきの茶褐色斑が数個以上ある場合は、早めに専門医に相談してください。この場合、皮膚の変化が強いと皮膚科や形成外科を、神経病変が強いと脳神経外科や神経内科を受診するケースが多いと思います。いずれの科を受診しても、長い経過をみながら各病状の変化に対し適宜対応することになります。また遺伝相談が必要な場合もあり、まずは担当医と相談してください。