血管腫(イチゴ状血管腫、赤ぶどう酒様血管腫、その他)とはどんな病気か

 現在、日本で慣習的に血管腫と呼んでいるものは、性質の異なる2つの疾患群に分けられます。ひとつは、イチゴ状血管腫のように血管を構成する細胞の増殖を本体とする病変であり、真の意味の血管腫です。
 もうひとつは、赤ぶどう酒様血管腫のように細胞の増殖を伴わない血管の構造上の異常で、血管奇形と呼ぶべきものです。後者は基本的には生まれつきみられ、その後大きな変化はありません。

原因は何か

 イチゴ状血管腫は、胎児期の発達段階にある血管を構成する細胞が何らかの原因で残り、出生後、母親から受けていた増殖抑制因子が欠乏して増殖するのではないかという考えがあります。
 赤ぶどう酒様血管腫などの細胞の増殖を伴わない血管腫は、発生段階における血管の形成異常であり、腫瘍というよりはむしろ母斑(ぼはん)(あざ)の一種と考えるべきものです。

症状の現れ方



 イチゴ状血管腫は、出生時にはわずかに赤いか無症状で、生後数週で急速に隆起し、増大します。表面はいちごのように鮮紅色を示す場合が多いのですが、色調には変化がないこともあります。また、その名のとおり表面がこぶ状に隆起するものは3割程度で、6割近くは軽度に隆起するだけです(図80)。


 赤ぶどう酒様血管腫は生まれつきある隆起しない赤い皮疹(ひしん)で、赤あざと呼ばれているものです(図81)。顔面に最も多くみられますが、体のいずれの部位にも発生します。赤あざは子どもの成長に比例して面積を増しますが、それ以上に拡大することはありません。
 眼の周囲に赤あざがみられる場合には、緑内障(りょくないしょう)などの眼症状、てんかんなどの脳神経症状を合併する場合があります(スタージ・ウェーバー病)。また、四肢の赤あざでは成長とともに患肢の肥大・延長、静脈瘤(じょうみゃくりゅう)、動静脈瘻(ろう)などが明らかになる場合があります(クリッペル・ウェーバー病)。
 赤あざに類似した皮疹は、新生児の額や項(うなじ)の中心部にしばしば現れます。新生児の30〜50%にみられますが、自然に消えていく傾向が強く、1〜2歳までに大部分は消失します。これはサーモンパッチと呼ばれ、赤ぶどう酒様血管腫とは区別されます。しかし、項に発生したものはウンナ母斑(ぼはん)と呼ばれ、約50%は大人になっても残ります。

検査と診断

 通常は見た目と経過から診断します。スタージ・ウェーバー病クリッペル・ウェーバー病が疑われる場合には画像検査などが必要になります。

治療の方法

 イチゴ状血管腫は自然に消えていくので、とくに合併症の危険がない大部分のものは、無治療で経過をみて差し支えありません。ただし、まぶたに生じ、眼をふさいでしまうようになったものや気道をふさぐものなどは、早急な治療が必要です。
 即効的な治療として、副腎皮質(ふくじんひしつ)ステロイド薬の大量投与が行われます。効果が不十分な場合には、インターフェロンα(アルファ)の連日皮下注射が行われる場合もあります。これらの治療は効果的ですが、いずれも重い副作用を生じる可能性があります。
 単に色調だけを、自然経過よりも早期に淡くしたい場合には色素レーザー治療を行います。この治療は副作用が少ないのですが、こぶを小さくする効果は期待できません。
 赤ぶどう酒様血管腫に対しては色素レーザー治療が第一選択です。効果の程度は病変の深さによって違いますが、ほとんどの赤あざに対して効果があります。
 顔面のサーモンパッチは自然に消えていく場合が多いので、治療せずに経過をみます。ウンナ母斑は髪に隠れて目立たないので、ほとんど治療しません。

血管腫(イチゴ状血管腫、赤ぶどう酒様血管腫、その他)に気づいたらどうする

 これらの血管腫を、早期に的確に診断することは必ずしも簡単ではありません。皮膚科専門医を受診して、診断を確定するとともに治療法についても相談してください。

関連項目

 スタージ・ウェーバー病クリッペル・ウェーバー病