ムンプス髄膜炎とはどんな感染症か

 ムンプスウイルスによる髄膜炎で、流行性耳下腺炎(りゅうこうせいじかせんえん)(ムンプスおたふくかぜ)を発症した患者さんの約3〜10%に合併するといわれています。
 ムンプスウイルスは中枢神経系に親和性があります。そのため、ムンプス(おたふくかぜ)患者さんの合併症として最も頻度の高いものがムンプス髄膜炎です。そのほか、ムンプスの中枢神経合併症としては、髄膜脳炎、脳炎があります。感染した単核球を介して中枢神経系に侵入するといわれています。

症状の現れ方

 通常、耳下腺の腫脹(しゅちょう)(はれ)から5日くらいたってから発症することが多いといわれていますが、耳下腺の腫脹より前に発症したり、耳下腺の腫脹を認めずに発症する場合もあります。
 症状は年齢によって多少違いがあります。年長児や成人では頭痛、嘔吐、項部(こうぶ)(うなじ)硬直(こうちょく)などが多く認められますが、年少児ではこれらの症状がはっきりしない場合が多いといわれています。
 米国のコロンブス小児病院に入院したムンプス髄膜脳炎の患者さん51人の検討結果では、発熱94%、嘔吐84%、項部硬直71%、嗜眠(しみん)傾向69%、耳下腺腫脹47%、頭痛47%、けいれん18%、腹痛14%、咽頭痛8%、下痢8%、譫言(せんげん)(うわごと)6%と報告されています。

検査と診断

 ムンプス発症時に、発熱、嘔吐、頭痛、項部硬直などの症状を認めた場合は、通常、髄液検査が行われます。
 また、MMR(麻疹(ましん)・おたふくかぜ風疹(ふうしん)混合)ワクチンの接種後に調べた結果では、ワクチン接種者1200人に1人程度の割合で、ワクチンに含まれるムンプスウイルスにより髄膜炎を発症することがありました。現在市販されているおたふくかぜワクチン接種後の髄膜炎の発症頻度は、これよりも低いといわれています。
 髄液の検査所見では、単核球を主とする細胞の増加が認められます。髄膜炎を疑わせる症状がなくても、髄液検査を行うと髄液中の細胞が増えていることがあります。髄液からのウイルス分離でムンプスウイルスを証明します。あるいは、RT‐PCR法を用いてウイルス遺伝子(RNA)を検出します。
 最近の分子生物学的手法により、ウイルスがワクチン株(ワクチン由来)か野生株かの判定が可能になりました。

治療の方法

 髄膜炎を合併した場合は、通常、入院治療が必要になりますが、ウイルスに特異的な治療法がないため、対症療法が行われます。髄液検査(穿刺(せんし))をすると、頭痛や嘔吐がある程度改善します。一般的に予後は良好で、後遺症を残すことはほとんどありません。髄膜脳炎を合併した場合でも、他の原因による髄膜脳炎に比べると予後は良好といわれています。

ムンプス髄膜炎に気づいたらどうする

 ムンプスの経過中に髄膜炎を疑わせる前記の症状がある場合は、早めにかかりつけの小児科あるいは内科を受診する必要があります。予防は、おたふくかぜワクチンによりムンプスの発症そのものを防ぐ以外、方法はありません。

関連項目

 流行性耳下腺炎(ムンプス)