ハンセン病とはどんな感染症か

 らい菌による慢性感染症で、主に皮膚と末梢神経に病変が生じます。日本では感染源になる人はほとんどいません。たとえ感染しても、現在の日本では発症することはまずありません。もちろん遺伝はしません。
 従来「らい」「癩(らい)」などの言葉が用いられてきましたが、現在は偏見・差別を助長するものとして使いません。

症状の現れ方

 自覚症状のない皮疹(ひしん)(皮膚の表面にできる発疹)や、知覚障害によるやけどやけがなどで気づきます。ハンセン病の皮疹はかゆみのない紅斑(こうはん)、丘疹(きゅうしん)、結節、環状斑などさまざまで、ハンセン病に特異な皮疹はありません。
 皮疹にほぼ一致して知覚(触った感じ、痛み、熱い冷たいの感覚)が鈍くなったり麻痺を認めます。診断や治療が遅れると神経がはれたり、運動障害(手足が曲がるなど)を伴うこともあります。

検査と診断

 らい菌の検出が重要です。現在のところ、らい菌の培養は不可能なので、(1)皮膚症状のある部位にメスを刺して組織液を採取する皮膚スメア検査、(2)皮膚の病理組織を抗酸菌(こうさんきん)染色する検査、(3)らい菌に特異的な遺伝子(DNA)を証明する検査がありますが、これらのうち複数の検査が行われています。
 皮疹部とその周辺、顔や手足の神経学的(触った感じ、痛み、熱い冷たいの感覚)検査を行います。神経の肥厚、運動障害なども調べます。
 日本では、(1)皮疹(自覚症状なし)、(2)神経症状(知覚障害、肥厚、運動障害)、(3)らい菌の検出、(4)病理組織学的検査の4項目を総合して診断します。なお、途上国では世界保健機関(WHO)の簡便な診断法が用いられています。

治療の方法

 治療はWHOの推奨する多剤併用療法に準じて行われています。抗生物質(リファンピシン、DDS、クロファジミン)を内服します。
 ハンセン病は治る病気ですが、早期診断、早期治療、確実な内服を心がけ、後遺症を残さず耐性菌(たいせいきん)をつくらないようにすることが大切です。らい菌が多い(多菌型)患者さんは1〜数年間、らい菌の少ない(少菌型)患者さんは6カ月間の内服で治ります。

ハンセン病に気づいたらどうする

 皮膚科で診察を受けてください。診察はまず問診(出身地・出身国、小児期の居住地、家族歴、気づかずにいるやけどやけがの既往など)を行い、その後、皮膚症状、神経の所見、らい菌の証明、病理組織学的検査などを行います。

ハンセン病の歴史

 有効な治療薬がない時代には、病状が進み、顔面、手足などに皮疹および末梢神経障害などを形成しました。そのため、外見上の問題と手足の不自由による就労の困難などから、住民から疎外され、宗教上も差別され、法律でも隔離などの対策がとられました。
 さらに日本では、有効な治療薬の出現後も1996年まで「らい予防法」が存在し、偏見・差別、人権侵害の長い歴史が続きました。