手足口病とはどんな感染症か

 毎年夏をピークに小児の間で流行する発疹症で、手、足、口腔内に水疱(すいほう)ができることからこの名前がついています。
 コクサッキーA16(CA16)、エンテロウイルス71(EV71)が主な原因ウイルスです。ほかにコクサッキーA10、コクサッキーB、エコーウイルスなどでも、この疾患を起こすことがあります。
 手足口病は基本的には軽症疾患ですが、EV71が原因の場合、まれに肺水腫(はいすいしゅ)や脳幹脳炎(のうかんのうえん)など重い合併症がみられることがあり、症状の変化には注意が必要です。
 患者さんは幼児が多く、2歳以下で半数を占めますが、学童でも発生することがあります。成人での発症は多くありません。通常は数日の経過で治りますが、1997年にマレーシアで、1998年には台湾でEV71を原因とする手足口病の大流行があり、急性脳炎や肺水腫といった重症例が報告され、急死例を含めて数十例の死亡例が報告されました。
 EV71を原因とする手足口病が流行している時は、中枢神経合併症に注意が必要です。

症状の現れ方

 3〜5日の潜伏期ののち、口腔粘膜、手のひら、足底や足背などに小水疱が現れます。幼児では口腔内の病変のために飲食が困難になる場合があります。高熱になることは少ないのですが、発熱は約3分の1の患者さんにみられます。中枢神経系合併症、心筋炎、急性弛緩性麻痺(しかんせいまひ)を合併することがまれにあります。

検査と診断

 通常、ほとんどは特徴的な発疹から診断されます。病原ウイルスを特定するためには、水疱内容物、咽頭ぬぐい液、便などからウイルスを分離、あるいはRT‐PCR法でウイルスの遺伝子を検出します。急性期と回復期の血清で、抗体陽転や抗体価上昇により診断されることもあります。

治療の方法

 特異的な治療をすることなく自然に治ることがほとんどですが、口腔内病変のために水分不足になることがあるので、幼児では注意が必要です。
 ただし、高熱、嘔吐などの症状を認める場合は、髄膜炎(ずいまくえん)、脳炎など中枢神経合併症を併発している場合があるので、早めにかかりつけ医を受診してください。

手足口病に気づいたらどうする

 かかりつけの小児科を受診し、脱水や中枢神経合併症を思わせる症状には十分注意します。ほとんどが軽症に終わること、患者さんの便中には1カ月近くウイルスが排泄されていることから、学校、幼稚園、保育所では、登校・登園停止の疾患にはなっていません。本人の病状により対応を決めればよいと考えますが、排便後の手洗いは重要です。