狂犬病<感染症>の症状の現れ方

 狂犬病の潜伏期は普通は1〜3カ月ですが、7〜8%の患者さんでは1年を超えることもあります。咬み傷から体内に入った狂犬病ウイルスは、傷口付近の筋肉細胞のなかで増えてから神経線維のなかに侵入して、神経線維のなかを脊髄(せきずい)に向かって進みます。狂犬病ウイルスが脊髄に達すると、初めて症状が出ます。
 この時期に現れる比較的特徴的な症状は、一度治った咬み傷が再び痛んだり、古傷のまわりがかゆくなったり、傷口付近の筋肉がけいれんしたりすることです。ほかにも、発熱やだるさなど多くの病気でみられるような症状が現れます。
 さらに狂犬病ウイルスが脊髄から脳に達すると、患者さんは言いようもなく強い不安感に襲われます。また、水を飲もうとすると、のどの筋肉がけいれんして強い痛みが起こるため、患者さんは水を避けるようになります。恐水症(きょうすいしょう)といわれるこの症状は狂犬病に特徴的なもので、狂犬病が恐水病とも呼ばれるのはこのためです。
 さらに病気が進行すれば、高熱や全身のけいれん発作が起こり、やがて昏睡(こんすい)状態に陥り、死亡します。狂犬病の致死率はほぼ100%で、現代の医学をもってしても、発病した狂犬病を治すことはきわめて困難です。現在まで救命できたと報告されている狂犬病患者は6例だけです。

狂犬病<感染症>の診断と治療の方法

 発病してしまった狂犬病の治療法はまだ確立されていません。
 しかし、狂犬病の長い潜伏期を利用して、狂犬病の動物に咬まれたあと、すぐに狂犬病ワクチンを、最初の接種日を0日として、0、3、7、14、30日に、必要があれば90日にも接種することによって狂犬病の発病を阻止することができます(狂犬病曝露(ばくろ)後発病予防)。