ウイルス性出血熱とはどんな感染症か

 ウイルス性出血熱(VHF)は、発熱、出血(皮下、粘膜、臓器)、多臓器不全を引き起こすウイルス感染症と定義され、以下のウイルス感染症が含まれます。
 エボラ出血熱(エボラウイルス感染症)、マールブルグ出血熱(マールブルグウイルス感染症)、クリミア・コンゴ出血熱(クリミア・コンゴ出血熱ウイルス感染症)、ラッサ熱(ラッサウイルス感染症)、南米出血熱(なんべいしゅっけつねつ)(フニンウイルスなどの新大陸アレナウイルス感染症)、腎症候性出血熱(じんしょうこうせいしゅっけつねつ)(ハンタウイルス感染症)、ハンタウイルス肺症候群(ハンタウイルス感染症)、黄熱(おうねつ)(黄熱ウイルス感染症)、デング出血熱(デングウイルス感染症)、リフトバレー出血熱(リフトバレー熱ウイルス感染症)などです。
 エボラ出血熱マールブルグ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、ラッサ熱、南米出血熱は、とくに死亡率の高いウイルス性出血熱であり、日本の感染症法では1類感染症に指定されています。エボラウイルス、マールブルグウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、ラッサウイルス、新大陸アレナウイルスは、国際的には高度安全研究施設でのみ、その扱いが許されています。

感染経路と流行地域

 ウイルス性出血熱の原因ウイルスのほとんどは、哺乳動物が宿主(しゅくしゅ)です。宿主動物から排出されているウイルスにヒトが感染するとウイルス性出血熱を発症します(いわゆる人獣共通(じんじゅうきょうつう)感染症)。また、クリミア・コンゴ出血熱や黄熱、リフトバレー出血熱は、それぞれウイルスに感染しているダニや蚊を介してヒトが感染して起こるもので、いわゆる節足動物媒介(せっそくどうぶつばいかい)感染症でもあります。
 そのため、原因ウイルスにかかわる宿主動物や媒介節足動物の分布に一致して、それぞれのウイルス性出血熱の流行地が決まっています。エボラ出血熱マールブルグ出血熱ラッサ熱はアフリカに認められる病気です。腎症候性出血熱は、韓国、極東地域、中国、東ヨーロッパ、北ヨーロッパにかけて広く分布する病気です。
 日本のネズミも、腎症候性出血熱の原因ウイルスであるハンタウイルスに感染していることが確認されていますが、最近では腎症候性出血熱患者の発生はありません。1987年に西アフリカから帰国した男性がラッサ熱を発症した例がありますが、それを除くとエボラ出血熱などのウイルス性出血熱患者は日本では確認されていません。