鼻疽、類鼻疽とはどんな感染症か

 鼻疽菌(バークホルデリア・マレイ)、類鼻疽菌(バークホルデリア・シュードマレイ)が病原体で、どちらも日本には存在しない感染症です。
鼻疽
 主にウマ、ロバ、ラバなどの奇蹄類(きているい)の病気ですが、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギなども感染します。ヒトには感染動物の鼻汁、潰瘍部、うみ、粘膜などとの接触によって感染します。
 モンゴル、中国、インド、フィリピン、インドネシア、イラン、イラクなどで報告があります。
類鼻疽
 熱帯地域の水や土壌に常在している細菌による感染症です。ブタ、ウマ、ヤギ、ウシなど多くの動物に感染します。ヒトには、流行地でのアウトドア活動によって傷ついた皮膚などから感染します。また、汚染した水、食肉などからも感染します。
 東南アジア、オーストラリア北部などにみられます。
 鼻疽も類鼻疽も、バイオテロに用いられる可能性が指摘されています。

症状の現れ方


鼻疽

 感染経路によって皮膚の局所的病変、肺炎敗血症(はいけつしょう)、あるいはこれらが混合した症状が現れます。局所感染の場合、潜伏期は1〜5日とされています。頭痛、発熱、筋肉痛など非特異的症状が認められますが、そののち全身感染を起こします。
 治療しない場合には、100%近くの死亡率といわれています。慢性になる場合も知られています。
類鼻疽
 いくつかの病型を示します。皮膚における急性の化膿性結節あるいは膿瘍(のうよう)では、リンパ管炎あるいはリンパ節腫脹(しゅちょう)を伴い、発熱、倦怠感(けんたいかん)を示し、その後、急速に敗血症へと進みます。
 肺における急性感染では、軽度の気管支炎から致死的な重症の肺炎までと多様です。亜急性ないし慢性に進行する場合もありますが、多臓器に膿瘍を形成し、結核結節との区別が必要です。また、不顕性(ふけんせい)感染も知られています。
 潜伏期は、数日から数年に及ぶ場合も知られています。健康な人にも感染しますが、患者さんの多くは糖尿病腎不全などの基礎疾患をもっています。

検査と診断

 いずれも確定診断には、それぞれの菌を分離する必要があります。血清学的には凝集(ぎょうしゅう)反応、補体結合反応、酵素抗体法などが用いられます。
 鼻疽では結核炭疽(たんそ)、類丹毒(るいたんどく)、天然痘(てんねんとう)、梅毒(ばいどく)など、類鼻疽ではコレラ赤痢(せきり)、アメーバ症、チフス、ペスト野兎病(やとびょう)、粟粒結核(ぞくりゅうけっかく)、マラリア梅毒、鼻疽、全身性真菌症との区別が必要です。

治療の方法

 セフタジジム、イミペネムなどの抗菌薬が有効とされています。

鼻疽、類鼻疽に気づいたらどうする

 流行地を訪れたのちに該当する症状があれば、鼻疽の場合には動物との接触の有無も含めて、受診時にそのむねを告げる必要があります。