鉤虫症(十二指腸虫症)とはどんな感染症か

 鉤虫は長さ1cmほどで、小腸に寄生します。国内で感染する例はほとんどありませんが、世界的にみれば熱帯から亜熱帯の湿潤な地方には広く分布しているので、これらの地域の農村部に仕事や旅行で滞在する時には注意が必要です。
 基本的に、土壌中にいる感染力のある幼虫が皮膚から入ってきて感染しますが、野菜などに付着した幼虫を飲み込んで感染することもあります。
 鉤虫症は、今では輸入感染症と考えてよいものです。鉤虫症に限ったことではありませんが、流行地にある程度の期間滞在していた人は、帰国して少なくとも1年くらいは、受診時にそのむねを伝えるようにしましょう。

症状の現れ方

 鉤虫は感染後1〜2カ月で成熟し、小腸上部に寄生します。
 感染初期には幼虫が肺を通るため、喘鳴(ぜんめい)(呼吸する時に出るゼイゼイ・ヒューヒューという音)や乾いた咳(せき)が出ますが、おもな症状は貧血です。これは成虫が小腸粘膜にかみついていて、そこから毎日出血するからです。鉤虫の「鉤(こう)(かぎ)」は、粘膜にかみつくための歯を指しています。
 少数の寄生では目立った症状はありませんが、たくさんの虫が寄生していると、鉄欠乏性貧血の症状(動悸(どうき)、息切れ、めまいなど)が現れます。

検査と診断

 南米やインド、アフリカ、中国などの流行地の農村から帰国して貧血の症状が出たら、この病気を疑う必要があります。抗体検査も有効ですが、確定診断は便の検査で虫卵を見つけることです。

治療の方法

 少数寄生では症状もなく、反復感染しなければ自然に治りますが、診断がついたら駆虫薬(くちゅうやく)(コンバントリン)を内服すれば治ります。鉄欠乏の程度がひどい時は、鉄剤も内服します。

鉤虫症(十二指腸虫症)に気づいたらどうする

 前述したように、流行地にある程度の期間滞在したことがあり、動悸、息切れ、めまいなどの貧血症状があるなら、この病気も疑って受診し、そのむねを医師に伝えてください。