蟯虫症とはどんな感染症か

 小児に多い寄生虫症ですが、大人も感染します。多くの線虫感染症と違って、国内でも珍しくありません。ヒトからヒトへの感染が起こるので、家族内や保育所内などで集団で感染していることがあります。
 蟯虫は盲腸(もうちょう)に寄生していて、オスは2・5cmほど、メスは1cm前後で、寿命はオスが2週間、メスが2カ月程度といわれています。
 交尾をしたメスの体内で卵が十分に発育してくると、メスは住みかである盲腸を離れ、夜中に肛門から外に這(は)い出して肛門周囲に卵を産みつけ、そこで力尽きて死んでしまいます。卵は1カ所に産むのではなく、卵を産みつくすまで、産んでは進み産んでは進みを繰り返します。

症状の現れ方

 寄生している虫の数が少ない時は症状のないことも多いのですが、メスが産卵のため這い回るので、肛門周囲に強いかゆみを感じます。とくに小児では、お尻をかきむしって細菌感染の原因になったり、寝不足になることがあります。
 また、盲腸に寄生しているので、虫垂炎の原因になることもあります。

検査と診断

 蟯虫は腸のなかでは産卵しないため、便のなかに卵は現れません。肛門周囲に産みつけられた卵を検出するには、セロハンテープ法という方法で行います。
 朝起きてすぐ、ふとんを出る前に肛門に粘着性のセロハンテープをつけて卵を付着させ、顕微鏡で卵を見つけます。蟯虫は毎日産卵するわけではないので、日を変えて2回、あるいは3日連続して検査します。

治療の方法

 駆虫薬(くちゅうやく)(コンバントリン)の内服で治ります。

蟯虫症に気づいたらどうする

 蟯虫卵は、産卵されて数時間以内に感染可能なまでに発育し、指や衣類、寝具に付着して感染源になります。ヒトは蟯虫に対しては免疫ができずに何度でも感染するので、小児がお尻をかいて卵のついた指をそのまましゃぶると感染がひどくなります。また、同じふとんで寝たり、密接な接触のある集団内では感染が広がっていきます。
 病害性の低い寄生虫ですが、見つけたら家族いっせいに駆虫することが基本です。普段から爪を短く切る、手洗いをよくする、寝具や室内を清潔に保つなどの注意が必要です。