旋毛虫症とはどんな感染症か

 十分に加熱または凍結されていない動物の肉を食べて感染します。国内で明らかになった感染源はクマ肉で、海外ではブタ、イノシシ、ウマ、そのほか、狩りでしとめたいろいろな動物の肉からの感染が知られています。
 旋毛虫の幼虫は筋肉のなかに潜んでいて、この肉がほかの動物に食べられて筋肉が消化されると、幼虫は素早く小腸粘膜の細胞のなかに入り込んで成虫になります。
 成虫が産んだ幼虫は、血液やリンパ液の流れに乗って全身に広がり、筋肉細胞に入り込んだ幼虫が生き続けて、次の動物に食べられるのを待つわけです。

症状の現れ方

 自覚症状のないものから重症のものまでありますが、典型的には、感染した肉を食べて1週間くらいして下痢、腹痛が現れ、2日〜1週間ほど続きます。
 次に、幼虫が筋肉に入ると筋肉痛、発熱、発疹、脱力感が起こり、眼のまわりに浮腫(むくみ)が起こります。眼、のど、舌、横隔膜(おうかくまく)、肋間(ろっかん)の筋肉がよく侵され、重い感染では呼吸がしにくい、しゃべりにくい、ものを飲み込みにくいなどの自覚症状が出ます。
 心筋が侵されると、心臓のポンプ機能が低下し、死亡の原因になることもあります。

検査と診断

 とくに海外で、普段食べないような動物の肉を生や塩漬け、薫製で食べ、下痢、腹痛、発熱や筋肉痛が現れれば、旋毛虫症を疑います。血液検査で好酸球(こうさんきゅう)の増加や、筋肉細胞からもれ出た酵素の増加などがわかります。
 最も確実な診断は、筋肉の一部をとって顕微鏡で旋毛虫の幼虫を見つけることですが、抗体検査が非常に有効です。

治療の方法

 虫自体に対しては駆虫薬(くちゅうやく)(メベンダゾール)を内服します。ただし、体中の虫がいっぺんに死ぬと激しいアレルギー反応が起こるので、ステロイド薬を併用します。また、呼吸障害や心不全がある時には、それに応じた治療をします。

旋毛虫症に気づいたらどうする

 原因になりそうな食品を食べたあと、1〜2カ月のうちに症状が出てきたら、設備の整った総合病院を受診して、食歴を話してください。同じものを食べた同行者などがいれば、その人にも受診をすすめてください。