レプトスピラ症(ワイル病)とはどんな感染症か

 ワイル病、秋疫(あきやみ)などに代表されるレプトスピラ症は、病原性レプトスピラ感染に起因する動物由来の細菌(スピロヘータ)感染症です。レプトスピラ症は全世界的に流行しており、保菌動物の排尿によって病原体に汚染された環境から経皮的、経口的に感染します。
 重症型であるワイル病の死亡率は5〜40%であり、治療開始時期が遅れるほど死亡率は高くなる傾向にあります。軽症型レプトスピラ症の予後は一般に良好です。

症状の現れ方

 レプトスピラ症は急性の発熱性疾患です。臨床症状は軽症のものから、黄疸(おうだん)、腎不全などを主な症状とする重症型レプトスピラ症(ワイル病)まで多様です。黄疸、出血、眼結膜の充血、腎障害などの症状を示した場合では、ほかの細菌感染による多臓器不全、ウイルス肝炎などとともにワイル病にも注意が必要です。
 非重症型レプトスピラ症では、あらゆる発熱性の疾患が鑑別対象となりますが、海外の流行地域(東南アジア、中南米、インド、中国など)への渡航歴、病原体に汚染された水などとの接触機会があった場合は、レプトスピラ症も疑う必要があります。通常、ヒトからヒトへの感染はありません。

治療の方法

 軽、中度のレプトスピラ症の場合には、ドキシサイクリン(ビブラマイシン)を7日間服用することがすすめられています。ワイル病(重症例)の場合は、ペニシリン系抗生剤(ペニシリンG、サワシリン)による治療が一般的です。
 回帰熱の場合と同様に、レプトスピラ感染症の治療にペニシリン系抗生剤が用いられた場合は、ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応(抗生剤投与後に起こる、発熱、低血圧を主症状とするショック)がみられることがあります。

最近の流行地域

 近年、東南アジア、中国、インド、オーストラリア、中南米でレプトスピラ症の大流行がありました。またマレーシア、米国で行われたトライアスロン大会でも河川での競技が原因で患者さんが発生しています。海外での流行情報などは国立感染症研究所のホームページで見ることができます。
 2003年にレプトスピラ感染症が感染症法4類に指定され、日本での発生状況が少しずつ明らかになってきました。沖縄県などでは河川でのレジャー、労働により患者さんが発生しています。これら地域の淡水域でのレジャーなどには注意が必要です。
 このほかの推定感染源として、農作業、ネズミとの直接・間接的接触が考えられています。