ボツリヌス食中毒<食中毒>の症状の現れ方

 食品とともに摂取された毒素は主に小腸上部で吸収され、次いでリンパ管をへて血液中に入り、作用部位である神経‐筋接合部に到達して末梢性の神経麻痺症状を現します。潜伏時間は、一般に汚染食品摂取後8〜36時間です。
 患者さんの多くにみられる初期症状は、腐敗した食品中のトリメチルアミンによる非特異的な胃腸炎症状(下痢、腹痛、嘔吐など)で、次いでボツリヌス毒素による神経麻痺症状が現れてきます。
 その多くはめまい、頭痛を伴う全身の違和感、視力低下、かすみ目、複視(ふくし)(文字や物体が二重に見える)、対光反射の遅延・欠如などの眼症状で、これらと前後して口渇、嗄声(させい)(しわがれ声)、発語障害、嚥下(えんげ)(飲み込む行為)障害などの咽喉部の麻痺症状が現れます。さらに症状が進むと、腹部膨満(ぼうまん)、頑固な便秘、尿閉(にょうへい)、四肢の麻痺が現れ、次第に呼吸困難に陥って死に至ることもあります。
 経過は患者さんによってさまざまですが、回復には数日〜数週間、時に数カ月かかることもあります。

ボツリヌス食中毒<食中毒>の診断と治療の方法

 唯一の特異的な療法は抗毒素の投与で、さらに症状の経過に応じてさまざまな対症療法も行われます。日本では1962年に抗毒素療法が導入され、その結果、致命率は著しく低下しました。