サリン中毒<中毒と環境因子による病気>の症状の現れ方

 縮瞳(しゅくどう)(瞳孔が小さくなる)は必ず起こり、軽症の場合では薄暗いとか、ぼんやりするなどの視覚障害を訴えます。重症度に応じて鼻汁(びじゅう)・流涎(りゅうぜん)(よだれ)→気管支れん縮→分泌亢進→呼吸障害→けいれん→呼吸停止を示します。サリンは酸や酸性溶液に接触するとフッ化水素を遊離します。また、加熱されるとフッ化物やリンの酸化物である刺激性のフューム(固体が昇華し、凝結してできる微細な粒子の霧)を遊離し、肺水腫(はいすいしゅ)を引き起こすこともあります。
 なお、極めて少量の皮膚曝露時に、全身症状がなく、汚染された部位の皮膚だけに筋線維性れん縮や発汗を認めることがあります。

サリン中毒<中毒と環境因子による病気>の診断と治療の方法

 農薬の有機リン剤やほかの神経ガスと同様に、ヨウ化プラリドキシム(PAM)や硫酸アトロピンを可能なかぎり早期に使用します。米国では戦場に持参し、兵士自身が自己注射するためのキットが販売されています。
 皮膚曝露の場合には、症状発現まで数時間以上かかるので、曝露6時間後の赤血球コリンエステラーゼ値が正常でも、経過観察を中止してはなりません。液体の経皮曝露時には、少なくとも18時間は入院して経過観察する必要があります。吸入曝露では症状の発現は早く、医療機関に到着するまでに重症化します。
 縮瞳以外のすべての症状が消えるまで、入院・経過観察を行います。縮瞳のみが数週間持続することもあります。