クレゾール中毒とはどんな病気か

 クレゾールは消毒殺菌薬として広く用いられていますが、高い組織浸透性と強い蛋白変性(破壊)作用があるため、これが経口、経気道または経皮により体内に入ると、消化管、気道、皮膚などの局所損傷のほか、肝臓、腎臓、血液、中枢神経など全身に障害が起こります。

原因は何か

 クレゾール(メチルフェノール)には、フェノールと同じく蛋白変性作用があり、それを利用して消毒殺菌薬として用いられます。クレゾールは水溶性が低いため石鹸液に溶かしクレゾール石鹸水として用いますが、これは日用品としても広く使われています。昔、病院でかいだ特有のにおいをもった消毒薬といえば、思い浮かぶ人も多いと思います。
 このように汎用されているため、誤ってあるいは故意に飲んだり皮膚にかけてしまう機会が多く、中毒の原因になりやすいのです。
 高い組織浸透性と強い蛋白変性作用があるため、飲んだ場合は上部消化管の腐食や穿孔(せんこう)(孔(あな)があくこと)、皮膚にかかった場合は紅斑や熱傷、吸入した場合は咽頭・喉頭の浮腫(むくみ)や気道の狭窄(きょうさく)を生じるとともに、全身の臓器が損なわれます。

症状の現れ方

 急性中毒では、経口、経気道、経皮、いずれの場合も数分でそれぞれの局所症状が現れます。また30分程度で、頭痛、めまい、呼吸困難、筋力の低下、興奮、体温の低下などといった全身症状も現れ始めます。重症例では、その後けいれんがみられ、1〜2日後に代謝性アシドーシス(血液が酸性になること)、メトヘモグロビン血症、溶血、DIC(播種性(はしゅせい)血管内凝固症候群)、肝腎障害などが生じ、死亡することもあります。局所の障害でも、消化管の穿孔や呼吸麻痺などにより数時間以内で死亡することがあります。
 慢性中毒では、頭痛、嘔吐、めまい、失神、嚥下(えんげ)困難、肝腎障害、肺水腫(はいすいしゅ)を生じます。

検査と診断

 原因となった毒物を特定することが大切ですが、クレゾールの場合、体内に吸収されたものが肺から吐き出され、患者さんの息にクレゾール特有のにおいがするので特定は比較的容易です。尿を放置すると黒くなり、塩化第二鉄を加えると赤紫色になることも診断に有用です。

治療の方法

 初期治療では、飲んだ場合は吐かせたり、消化管の穿孔に注意しながら胃の洗浄を行い、毒物を取り除きます。その際、オリーブ油を投与して吸収を遅らせます。また活性炭や下剤の投与を行います。吸入した場合は、まず新鮮な空気のところに移し、安静と保温に気をつけます。皮膚についた場合は、水または石鹸水で十分に洗います。
 呼吸困難や呼吸停止がみられたら、ただちに穿孔に注意しながら気管内挿管を行うなどの呼吸管理をします。血液透析をしてクレゾールを血液から直接取り除く必要がある場合も多くあります。拮抗剤はありませんので、それぞれの症状に応じた対症療法が中心になります。

クレゾール中毒に気づいたらどうする

 ただちに、吐かせる、空気の新鮮な場所に移す、皮膚を洗浄するなどの対処を行い、救急病院に搬送してください。

関連項目

 トイレ・パイプ洗浄剤中毒洗剤・界面活性剤中毒DIC肺水腫