重金属中毒とはどんな病気か

 金属が、消化器、呼吸器、皮膚から体内に吸収されると、その量、種類や結合物質によって、肝・腎障害をはじめ、神経障害、造血器障害、消化器障害、呼吸器障害、皮膚障害、骨障害など、さまざまな障害を起こします。
 急性中毒では、口から飲み込んだ場合は消化管障害、フューム(金属の蒸気が空気中で凝縮したもの)を肺に吸い込んだ場合は発熱が起こります。

原因は何か

 金属を飲み込むと、消化管の粘膜を刺激あるいは腐食し、消化管障害を起こします。また、フュームを吸入すると、肺の蛋白が変性し(破壊され)、その蛋白自体またはその蛋白に対するアレルギー反応によって発熱するとされています。

症状の現れ方

 金属を飲み込むと、その直後から、腹痛、嘔吐がみられ、下痢、吐血、下血などもみられます。多量の場合は、ショックが起こることもあります。
 一方、フュームを吸入した場合には、数時間の潜伏期のあと、39℃以上の発熱とインフルエンザ様の感冒(かんぼう)症状がみられます。多くの場合、半日程度で自然に軽快します。カドミウムやベリリウムのフュームを吸うと肺水腫(はいすいしゅ)が、水銀のフュームを吸うと間質性(かんしつせい)肺炎が起こることがあります。


 そのほか、急性中毒としては、無機水銀を飲み込んだり吸入したりすると、粘膜の腐食のほか、腎障害が起こります。また、有機鉛を吸入したり皮膚から吸収すると、興奮や不安、幻覚などの精神症状が生じます。慢性中毒では、全身のさまざまな臓器に、原因となる金属特有の障害が起こります(表14)。

検査と診断

 急性中毒では、摂取した物質を特定するほか、血液中、尿中、便中の金属を特定することが診断の手がかりになります。慢性中毒では、特徴的な所見とともに、血液中、尿中、毛髪中の金属濃度を測定したり、金属摂取によって変化する酵素活性の測定などによって診断を行います。

治療の方法

 急性中毒で、飲み込んだ場合は、まず吐かせ、胃の洗浄、下剤の投与などを行います。フュームを吸入した場合には、二次感染の予防のため、抗生剤を投与します。体内にたまった金属の排泄には、金属の種類によっては、ジメルカプロール(バル)、エデト酸、ぺニシラミンなどのキレート剤(金属をはさみ込んで体外に排出させやすくする薬)が有効です。そのほか、症状に応じた対症療法を行います。

重金属中毒に気づいたらどうする

 飲み込んだ場合は、まず吐かせて、救急病院に搬送します。フュームを吸った場合は、新鮮な空気のところに移動させて様子をみますが、翌日までには、二次感染や肺水腫の予防のため内科を受診してください。

関連項目

 肺水腫間質性肺炎パーキンソン症候群水俣病イタイイタイ病慢性砒素中毒