急性高山病(きゅうせいこうざんびょう)

高山病とはどんな病気か

 急性高山病は、急速に高地に到達した際に、その低酸素環境により生じる急性の呼吸・循環・中枢神経症状を主体とした症候群です。


 急性高山病には、1〜2日で自然に軽快する軽症の「山酔(やまよ)い」とも呼ばれる病態から、早急に治療を必要とする「高地肺水腫(こうちはいすいしゅ)」や「高地脳浮腫(こうちのうふしゅ)」などの重症の病態まで含まれます(表17)。
 通常、高地に順化していない人が、海抜2500m以上の高所へ数時間のうちに到達した場合に、急性の低酸素血症が生じ、その結果高山病が発症します。高山病の発症は、高地到達後2〜3日以内のことが多く、重症例は若年の男性に多くみられます。

原因は何か

 高度の増加に伴い吸入酸素分圧が低下します。その結果、換気不足に陥り低酸素血症が引き起こされ高山病が発症します。高山病の発症率、重症度、罹患期間は、到達する高さ、到達速度に左右されます。また、登山による疲労や脱水、寒冷や乾燥などの環境要因、高地順応の程度や心肺機能などの個体差、高地での飲酒や鎮静薬の服用、さらに睡眠不足なども発症の促進や病態の進展に関与します。現在のところ、高山病の発症を正確に予測することは困難です。

症状の現れ方



 通常、2500m以上の高地に到達すると、数時間から1日以内に山酔いがみられます。高度の増加に伴って、高地肺水腫、高地脳浮腫、高地網膜(もうまく)出血などが合併します(表18)。

検査と診断



 臨床症状(表18)の現れ方が診断の決め手になります(図9)。検査所見(表19)は、病態の把握に有用です。

治療の方法



 早期発見、早期治療が治療方針の鉄則です。救急処置としては、安静、保温、酸素吸入、迅速な下山が基本となります(図10)。

予防対策

 休息をとりながら、ゆっくりと高地へ到達することが必要です。高地でのアルコール摂取や鎮静薬の服用、過激な肉体労作、寒冷曝露(ばくろ)、睡眠不足などは避けなければなりません。アセタゾラミド(ダイアモックス)を登山開始の約12時間前から内服(1日250mg)することも予防法のひとつです。

●慢性高山病(まんせいこうざんびょう)
 高地に長く居住している人にまれにみられます。著しい赤血球増多症(せっけっきゅうぞうたしょう)(ヘモグロビン濃度20〜22gdl)、低酸素血症、低酸素に対する呼吸中枢の感受性の低下が認められ、その結果、頭痛、思考力低下、不眠、呼吸困難などが出現します。
 唯一の治療法は、居住高度を下げることです。