アレルギー性疾患と心身症

 心身症とは、精神的なストレスや悩みが体の症状として現れる病気です。よく知られるものに自律神経失調症過換気(かかんき)症候群などがありますが、アレルギー性疾患としては、気管支喘息(ぜんそく)アレルギー性鼻炎じんま疹アトピー性皮膚炎などがあります。
 アレルギー性疾患のなかで、その発症と経過に心理社会的な因子が密接に関与していることが明らかなものが、心身症ということになります。たとえば気管支喘息患者のなかには、手元に薬がないと思ったとたんに発作が起きたり、ストレスの影響で発作が増強する人がいます。

アレルギー性疾患の発症と経過に関わる心理社会的因子

 関与の仕方から、準備因子、誘発因子、持続因子または増悪(ぞうあく)因子の3つに分けられます。
準備因子
 これだけではアレルギー性疾患を発症させるまでの身体的変化は起こしませんが、さらにその上に何らかの誘発因子が加われば、容易にアレルギー性疾患を発症させる(またはその症状を出現させる)だけの身体的変化を引き起こす因子を指します。
 種々の心理社会的ストレッサーとなりうるものと、それらの受けとめ方、それらに対する対応の仕方などがあげられます。心理社会的ストレッサーとなりうるものに対して、 (1)それによって自分の心の支えが失われもう頼りにできるものがなく、自分の人生はおしまいだ。 (2)それはこれまでの自分の考え方ややり方ではどうにもならない。 (3)それによって自分がやりたいこともできず、言いたいことも言えなくなった。 (4)それによって自分のプライドが傷つけられた。自分らしさが保てなくなった。 (5)それによって社会とのかかわりが絶たれた。 などという受けとめ方をしている場合です。
誘発因子
 いわゆる発症準備状態ができあがった時、さらにその上に加わってアレルギー性疾患(またはその症状)を発症させるだけの身体的変化を引き起こす因子です。 不安、怒り、罪悪感、うつなどの感情、またはこれらの感情を引き起こす心理社会的因子があげられます。
持続因子または増悪因子
 いったん引き起こされたアレルギー性症状を、持続または増悪させるようにはたらく因子です。
 家族や身近にいる人が、アレルギー性症状が出ていない時には患者さんにほとんど関心を示さず、アレルギー性症状が出るとひどく心配して優しくし、患者さんに無意識的な疾病利得を求めさせるような態度をとっているような状況をあげることができます。
 また、増悪因子としては治療期間が長くなり、社会生活もままならず、アレルギー性症状が出るたびにいらいらしたり、抑うつ的になったりすることなどもあげられます。

アレルギー性疾患の心身医学的治療

 それぞれの疾患に特有の身体的治療と、その患者さんに特有の心理的治療とに分けられます。 (1)医師(医療スタッフ)と患者さん(その身近にいる人)との信頼関係の確立に努め、心身相関の現象に気づかせて心身医学的治療への動機づけを行います。 (2)個々の症例に最も適切な方法でストレス状態からの解放を図り、生体の防御機能(治癒力)の回復を図るとアレルギー性症状が軽快・消失することを体験的に理解させ、心身医学的治療への意欲を高めます。 (3)アレルギー性疾患の発症と経過に関与している心理社会的因子を検討させて、それに対する適切な対応が必要であることに気づかせるよう方向付けをします。 (4)アレルギー性疾患を発症させ、慢性化させやすくしていた日常行動をより適切なものへと修正させ、生活の質(QOL)を高めさせるように援助します。 (5)アレルギー性疾患の発症と経過に関与している諸因子を心身両面よりとらえ、それぞれに適切な治療を行って、発症準備状態を解消し、治療間隔をあけ定期的な薬を中止しても症状が再燃・増悪しないことが確認されたら、治療を終結します。