小児特発性関節炎とはどんな病気か

 子どもに起こった原因不明の慢性関節炎を「小児特発性関節炎」と呼びます。臨床症状から全身型、多関節型、少関節型などの発病パターンがあり、血液検査からもリウマトイド因子陽性型、抗核抗体陽性型、血清因子陰性型などのパターンがあります。このパターンの組み合わせで細かい診断を行います。
 細かい診断によって、それぞれの治療法、予後が異なるので、発病時に正確に診断を行い、早期に積極的な治療を行うことで、予後の改善が図られます。万が一、関節炎を持続させてしまうと、やがて軟骨・骨が破壊され、関節内に線維化(せんいか)が進行し、関節は変形したまま固まってしまうことになります。
 特殊なパターンをとる病型に全身型があります。関節炎だけではなく、高熱が続き、発熱時の発疹、心膜炎、肝脾腫(かんひしゅ)などの症状を繰り返し、むしろ全身症状が主となる病型です。経過中に突然、マクロファージ活性化症候群という致死的な病気に移行することがあり、専門医への相談が必要です。

原因は何か

 根本的な原因はわかりません。しかし、関節炎の直接の原因は、関節内の免疫を司る細胞が過剰な炎症性サイトカインを産生することにあります。最近では、このサイトカインを人為的に調節する治療薬が開発され、効果のあることがわかりました。

症状の現れ方

 女児に多く、年齢を問わず膝、足首、肘、手首など大きな関節がはれてひどい痛みがあり、朝の洗顔が不自由になったり、歩くこと、走ること、荷物を持つことがつらくなります。関節のはれや痛みは、左右対称性に起こることが特徴です。起床してから午前中に症状は強く、また持続します。顎(がく)関節や手指の小さな関節に炎症が起こることもあります。
 多くの場合、数週間のうちに全身のいくつかの関節に炎症が広がっていきます。微熱、食欲の減退、体重の減少も認められます。

検査と診断

 診断は、まず全身の約70関節の診察により炎症関節の部位、数を確定します。左右対称性で、朝に強い痛みを覚える関節炎が2週間以上持続していれば、小児特発性関節炎の可能性が高くなります。血液検査で、リウマトイド因子、抗核抗体、抗CCP抗体などを検査し、また、炎症の勢いを赤沈、CRP、IgG、MMP‐3などを測定して治療に役立てます。
 発病して早い時期にはX線検査では異常を検出することができません。しかし、造影MRI検査により関節滑膜炎(かつまくえん)と関節液貯留を検出することができます。最近では、関節エコー検査により短時間で関節炎の判断ができるようになりました。
 細菌の感染による関節炎、小児期の白血病や悪性腫瘍による関節炎、ほかの膠原病(こうげんびょう)に伴う関節炎などを見分ける必要があります。

治療の方法

 診断がつくまでの1〜2週間は、非ステロイド性抗炎症薬により関節痛を抑えます。診断がつき、関節炎の勢いが強ければ、早期から多剤併用療法を始めます。
 標準的な多剤併用療法は、メトトレキサート(MTX)少量パルス療法(MTX10mgm2、週1日内服)に、速効性薬剤である経口プレドニゾロン少量と非ステロイド性抗炎症薬を加えます。この治療法により、約75%の関節炎は2〜4週間で改善に向かいます。プレドニゾロンは徐々に減量して、この治療を3年以上継続します。
 この併用療法が無効である25〜30%の子どもには、サイトカイン遮断療法が用いられるようになりました。この治療はリウマチ専門医が行うことになります。

小児特発性関節炎に気づいたらどうする

 子どもは活発に活動しつつ、常に成長を遂げていく時期にありますから、関節の痛みは「成長痛」として誤認されることがあります。しかし本症であれば、関節痛は夕方ではなく午前中に強く、関節には熱感とはれが認められます。また、一晩だけ痛いのではなく何日も持続して痛みを訴えます。
 そのような場合は、まず小児科を受診します。初めの治療は小児科医に行ってもらっても、やがて治療中でも関節炎を繰り返す場合には、2〜3カ月のうちに子どものリウマチ専門医へ紹介してもらうのがよいと思います。関節炎があれば、関節の保護が必要です。治療の効果が認められば早期からリハビリテーションを始めることになります。

関連項目

 関節リウマチ全身性エリテマトーデス混合性結合組織病