シェーグレン症候群<膠原病と原因不明の全身疾患>の症状の現れ方

 臨床症状は多様ですが、大まかに腺症状と腺外症状とに分けられ、それぞれ表7のようになります。
 問診の際にチェックすべき項目は以下のとおりです。
・食事の時、水を必要とするか?
・口腔乾燥感があるか?
・舌先に異常な感覚がないか?
・味覚の異常があるか?
・唾液腺がしばしばはれるか?
・眼が疲れやすいか?
・眼がゴロゴロするか?
・眼の灼熱感(しゃくねつかん)や違和感があるか?
・日に3回以上、眼薬をさすか?
 このような問診によりドライマウスドライアイ症状の有無を診断します。ドライアイは、“疲れ眼”の6割を占めるといわれていますが、その乾燥症状が即シェーグレン症候群ということではありません。
 腺外症状としての関節炎は、関節リウマチと同じように朝のこわばりがあり、両側に関節痛が起こりますが、関節リウマチと異なりこわばりの持続時間が短時間であり、関節の変形を来すような激しい関節炎は少ないです。しかし、当然ながら関節リウマチを合併した二次性シェーグレン症候群では、関節リウマチに特徴的な関節炎の所見を示します。

シェーグレン症候群<膠原病と原因不明の全身疾患>の診断と治療の方法

 治療は腺外症状の有無により異なります(表10)。腺症状だけの腺型シェーグレン症候群では、日常生活ではあくまでも対症療法が中心となり、外部環境に気をつかい、眼や口に風が当たらないようにメガネやマスクを使用し、室内では加湿を心がけてください。
 ドライアイに対して、防腐剤を含まない人工涙液(眼薬)、プラグを用いた涙点閉鎖、ドライアイ保護用眼鏡などが有効です。ドライマウスに対しては、うがい、サルベートなどの人工唾液、ガム、去痰薬(きょたんやく)、麦門冬湯(ばくもんどうとう)(漢方薬)、フェルビテンなどが有効でしょう。最近、ムスカリン受作動性アセチルコリン受容体を刺激する塩酸セビメリン(サリグレン、エボザック)および塩酸ピロカルピン(サラジェン)が発売されましたが、ドライマウスに対して有効です。
 活動性で炎症症状が強い腺外型や二次性シェーグレン症候群に対しては、その炎症を抑えるために副腎皮質ホルモン薬(ステロイド薬)が使用されます。とくに活動性が高いと考えられるのは、(1)進行性の間質性(かんしつせい)肺炎糸球体腎炎(しきゅうたいじんえん)、間質性(かんしつせい)腎炎、自己免疫性肝炎、中枢神経障害、(2)高ガンマグロブリン血症やクリオグロブリン血症に伴う高粘度症候群、(3)持続する発熱や全身リンパ節の腫脹(しゅちょう)(偽性(ぎせい)リンパ腫)、(4)反復性の唾液腺腫脹、(5)二次性シェーグレン症候群などです。
 ステロイド薬の用量は、重い病変に対しては適切な時期にプレドニゾロン換算で30〜60mg日を投与し、また、炎症症状が弱い場合では、5〜15mg日と比較的少量で十分な効果が得られるでしょう。症状、検査所見などから必要と思われる時には積極的に使用するべきです。
 免疫抑制薬(シクロホスファミド)も重症例では有効とされていますが、腎毒性、悪性リンパ腫の発症の危険性を考慮しなければなりません。投薬は最善の戦略を立て、注意深く行われなければなりません。さらに、慢性甲状腺炎原発性胆汁性肝硬変症(げんぱつせいたんじゅうせいかんこうへんしょう)、尿細管性アシドーシス悪性リンパ腫などの合併症がある場合、それぞれに対する個々の治療が必要となります。
 腺型シェーグレン症候群は、一般に予後が良好です。腺外型や二次性シェーグレン症候群は、活動性が高く難治性であることが問題になります。とくに、進行性の間質性肺炎糸球体腎炎自己免疫性肝炎、中枢神経障害、高粘度症候群などの病変が現れた場合は予後が不良になります。シェーグレン症候群には悪性リンパ腫の合併もみられており、その発症率は健常人に比して40〜80倍高いと報告されています。