ベーチェット病<膠原病と原因不明の全身疾患>の症状の現れ方

 口腔内アフタ、皮膚・眼症状、陰部潰瘍が発作的に起き、繰り返しますが、発作と発作の間欠期は無症状です。口腔内アフタは初発症状であることが多く、頬(きょう)粘膜、舌、口唇、歯肉に痛みのある潰瘍が繰り返しできます。
 皮膚症状としては、結節性紅斑(けっせつせいこうはん)、毛嚢炎(もうのうえん)(ざ瘡(ざそう))様皮疹(ようひしん)、皮下の血栓性静脈炎(けっせんせいじょうみゃくえん)がみられます。結節性紅斑は隆起性で圧痛を伴う紅斑が四肢(主に下腿)に現れます。毛嚢炎様皮疹は、中心部に膿疱(のうほう)をもつにきび様の皮疹が前胸部、背部、頸部(けいぶ)などにみられます。血栓性静脈炎は下肢に多くみられ、皮下静脈に沿った発赤、圧痛と周囲の浮腫(むくみ)が主な症状です。
 また、針反応といって、採血後など針の刺入部が24〜48時間後に発赤や毛嚢炎様発疹を示す皮膚の過敏反応がみられる場合があります。陰部の潰瘍は、男性では陰嚢(いんのう)部、女性では陰唇(いんしん)部に好発し痛みを伴います。
 眼の病変は前部ぶどう膜炎が特徴で、典型例は前房蓄膿(ぜんぼうちくのう)を伴う虹彩毛様体炎(こうさいもうようたいえん)です。眼の発作を繰り返すと視野の障害や眼圧の上昇を来します。網膜脈絡膜炎(もうまくみゃくらくまくえん)に進む例では視力低下の末、失明に至る例もあります。
 関節炎は急性、亜急性の発症で、膝、足関節に多く変形を来すことはありません。まれに持続性関節炎を合併します。男性ではまれに副睾丸炎(ふくこうがんえん)を合併することがあります。
 特殊型として、(1)腸管型、(2)血管型、(3)神経型があります。
(1)腸管の病変は回盲部(かいもうぶ)に多く、潰瘍を作り腹痛、下血、便通異常を来します。
(2)血管の病変では、動脈や静脈の血栓性閉塞や動脈瘤(どうみゃくりゅう)がみられます。
(3)神経の病変としては、発熱や頭痛で髄膜炎(ずいまくえん)様症状を来す場合や、運動麻痺や失調症状を示す場合があります。精神障害や人格障害が徐々に進行する例もみられます。
 皮膚粘膜症状がひどい時や、腸管、神経の病変を伴う場合には、発熱などの全身症状が認められます。

ベーチェット病<膠原病と原因不明の全身疾患>の診断と治療の方法

 軽症の皮膚・粘膜病変には局所ステロイド外用薬を使いますが、頻繁に症状が現れる場合は、コルヒチンを使用します。コルヒチンは諸症状に有効で、投与開始後1〜2カ月で症状の軽症化や出現頻度の減少がみられます。
 眼症状のうち、虹彩毛様体などの病変が全眼部にとどまる場合は、局所的にステロイド点眼薬と散瞳薬を使用します。網膜脈絡膜炎では、急性眼底発作にはステロイドのテノン嚢下(のうか)注射、あるいは全身投与で速やかに発作を消退させます。発作の反復は視力低下につながるので、予防にコルヒチンを使用します。不十分であればシクロスポリンを使用し、それでも治療抵抗性の場合は抗TNFαモノクローナル抗体、インフリキシマブを検討します。
 神経、血管、腸管病変に対しては、早期からの積極的治療で発病後数年間の活動期に臓器障害が残らないように注意します。
 血管病変のうち炎症を伴う動脈病変には、高用量ステロイドにアザチオプリンやシクロホスファミドなどの免疫抑制薬を併用します。血栓性病変には抗血小板薬・抗凝固薬を併用することがよくあります。動脈瘤は、術後に縫合部の仮性動脈瘤形成など局所の再発が多いので、手術は慎重に考えます。
 腸管病変には、ステロイドとともにサラゾスルファピリジン、メサラジンを併用します。
 髄膜炎や脳炎症状を示す急性型中枢神経病変には、パルス療法を含む高用量ステロイドを使用します。慢性進行性の精神・人格障害は難治性ですが、メトトレキサートが有効な場合があります。
 非ステロイド抗炎症薬は関節炎、結節性紅斑、外陰部潰瘍に有効です。