乾癬性関節炎<膠原病と原因不明の全身疾患>の症状の現れ方


(1)関節症状
 関節症状の現れ方は大きく3つのタイプに分かれます。
(1)反応性関節炎という病気に似て腱付着炎(けんふちゃくえん)(筋肉の端で関節につながり、関節を動かす役目をもつ腱のつけ根が痛くなる。代表的なものはアキレス腱が痛くなる)を伴い、かつ、ひとつないし少数の関節が痛くなる型(全体の30〜50%)。
(2)リウマチに似て全身の多数の関節が痛くなる型(30〜50%)。
(3)主に体軸(たいじく)障害型といわれ、強直性脊椎炎(きょうちょくせいせきついえん)という病気に似て背骨が痛くなったり、骨盤にある仙腸(せんちょう)関節が痛くなったり、時に股、肩の関節が痛くなるタイプ(残りの5%)です。
 そのなかでも関節症状に関しては、全体でも25%に遠位指節間(えんいしせつかん)(DIP)関節(指のいちばん先端の関節、通常リウマチでは痛くならないといった特徴があり、鑑別に役立つ)に病変を認め、5%はムチランス型といわれる指が短くなり力が入らなくなる高度の変形となることもあるとされています。背骨の痛み(本症では脊椎炎による)や仙腸関節炎は、どの病型でも各30〜35%に認められるとされています。
 病型間の移行もあり、症状は一定しないと考える必要があります。

(2)関節外症状
 腱ないし靭帯(じんたい)の付着部炎(症)は、とくにアキレス腱および踵(かかと)の腱の付着部によくみられます。結膜炎など眼の症状を伴うこともあります。逆に強直性脊椎炎に認められる大動脈弁閉鎖不全(心臓の弁膜症)、ぶどう膜炎(眼の内部の炎症で、放置すると視力が低下する)、肺線維症(はいせんいしょう)(肺が硬くなる)などはまれです。

(3)皮膚症状
 乾癬はまわりとの境がはっきりした紅斑です。銀白色の鱗屑(りんせつ)(ふけのようなもの)を伴います。病変は肘、膝の伸側および頭皮、耳および仙骨上部に認められることが多いとされます。大きさは1〜数cmに及び、かくと点状の出血がみられます。爪は表面にくぼみができたり、浮いてはがれそうになったりします。DIP関節病変のある爪に多数(20以上)のくぼみがあれば、本症に特徴的と考えられます。

乾癬性関節炎<膠原病と原因不明の全身疾患>の診断と治療の方法

 今までは、リウマチに比べると関節の症状はやや軽いとされてきました。しかし、実際にはムチランス型の高度の変形となってしまうこともあるので軽く考えないことが必要です。
 一般的な治療は、(1)まずリウマチの治療に似た薬を使い、それでも効果が上がらない時は、(2)生物学的製剤といわれる比較的新しい注射療法を考えます。

(1)従来の薬物療法
 関節症状にはまず運動療法を行い、関節が拘縮(こうしゅく)(硬くなり、曲げたり伸ばしたりできなくなる)しないようにすることが大事です。さらに症状によっては、非ステロイド性抗炎症薬を飲む必要があります。
 これでも症状が治まらない時は、リウマチの時と同様いわゆる抗リウマチ薬が必要になります。とくに、アザルフィジンやリウマトレックスが比較的よく効くといわれています。リウマトレックスは皮膚の症状にも有効のことが多いようです。

(2)生物学的製剤
 残念ながら、従来の方法では満足のいく治療効果がえられるとはいい切れません。最近、リウマチでも注目されているのが生物学的製剤を用いた治療です。関節炎の症状を悪くしているのは、血液や関節液のなかのサイトカインといわれる炎症を引き起こす物質、とくにTNF‐α(アルファ)と呼ばれるものが悪さをしていることが明らかになりました。そのTNF‐αを直接抑えるのが生物学的製剤で、そのなかでとくにTNF‐αブロッカーと呼ばれるレミケード、エンブレル、ヒューミュラが有効といわれています。
 これらの薬剤は、リウマチ以上に効くことが明らかになってきています。しかし、最近リウマチを治療していると有害事象として新たに乾癬が出現するとの警告が出ています。さらに、高額であること、注射(点滴もしくは自分で注射する)の難しさ、副作用としての重い感染症(とくに結核(けっかく)など)の心配があるため、生物学的製剤を使うかどうかは主治医とよく相談してください。