成人T細胞性白血病とはどんな病気か

 この病気は南九州、四国南端、沖縄に多くみられ、40歳以上の成人に発症することが多く、Tリンパ球(T細胞)の増殖に伴って白血球数の増加やリンパ節の腫脹(しゅちょう)、その他さまざまな合併症を示す疾患です。

原因は何か

 ヒトTリンパ向性ウイルスI型(HTLV‐I)の母乳からの感染、ないしは夫婦間の水平感染が原因で起こります。HTLV‐I感染者の多くは無症候性で、日本全体で約120万人存在します。ごく一部のHTLV‐I感染者が、感染してから40〜50年の潜伏期間ののち、いろいろな症状をもって発症してきます。

症状の現れ方

 病型として、成熟Tリンパ球の性格をもつ腫瘍細胞が急速に末梢血中に出現してくる場合(急性型)や、リンパ節が腫脹してくる場合(リンパ腫型)があります。このほか、比較的進行がゆっくりした慢性型、症状をほとんど認めないくすぶり型などがあります。肝障害や高カルシウム血症を伴って強度の脱力感、食欲不振を示すこともあります。

治療の方法

 治療は、感染症や肝機能などの合併症の有無、病型や進行度、全身状態など、いろいろな要因を総合的に判断して決定する必要があります。自覚症状がまったくないくすぶり型などでは、経過観察のみが最善の場合があります。急性型やリンパ腫型では悪性リンパ腫の治療に準じて、アドリアマイシンやシクロホスファミドなどを用いて強力な治療を行うこともあります。
 しかし、強力な治療を行っても予後不良であり、現在、造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)移植などの新しい治療法が研究されています。
 HTLV‐Iに感染している母親からの授乳を中止することは、子への感染を予防する方法のひとつと考えられています。また輸血を介して感染しうるので、HTLV‐I抗体陽性の人からの献血は現在お断りしています。最近、HTLV‐I感染者は若年層を中心に減少傾向にあり、これらの予防対策は、ある程度効果をあげていると考えられます。